心が強い人は「無理なやる気」を手放している 「感覚に帰る」を習慣化するとうまくいく!

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だから「感覚を意識」してニュートラルに帰り、「緻密に作業を始める」ことで、雑念をリセットするのです。

効率を上げる、集中する、ベストの成果を期待する――どれも「集中のための心の使い方」が欠かせません。それを教えてくれるのが仏教ですが、茶道・武道などの「稽古・作法」にも、同じコツが隠れています。アスリートも綿密に、ウォーミングアップしていますよね。

頑張りたい。やる気を出したい。最高の成果を上げたい。そう願うなら、「頑張らねば」と意気込むより、むしろニュートラルに、ていねいに作業を始めるようにしてみましょう。

外に出たら、さっそく「ていねいに(緻密に)」歩いてみてください。足の感覚を意識し、姿勢や、肩の高さ、足の角度や運ぶ速度に注意しながら、きれいに歩いてみるのです。

速くても「緻密に」歩きます。やってみると、心がシャキッとして、「自然にやる気が出てくる」ことを実感すると思います。

やる気を出す二つめのカギは、「快のある方向性」を思い描くことです。「快」とは、心地よさ・楽しさ・喜びなどの「プラスの感情」。「方向性」とは、たどり着きたい未来像・ゴールのことです。

試しに、気持ちが明るくなる・楽しくなる「自分の姿・仕事ぶり・生活」を思い描いてみてください。

「ああ、こんな自分(毎日)になったらいいな」と思えるイメージ――「仕事がうまくいった」「上司や同僚といい関係を築けた」「めざしていた目標が達成できた」など、なんでもかまいません。

私たちは雑事に追われて、つい自分の方向性を忘れてしまいます。そうなるとストレスが溜まる一方で、やる気は次第に枯渇してしまいます。

そこであえて「快のある方向性」を思い返すこと。この“瞑想”が気持ちをよみがえらせてくれるのです。

思い描いて明るくなれる(快がある)ことが大事です。「焦り」や「嫉妬」や「不満」が出てくる暗い妄想は避けてください。そういう「妄想」が出てきたら、体の感覚に意識を向けてニュートラルに戻りましょう。

気持ちを暗くする「妄想」と、明るくする「方向性」

「方向性」と聞くと「え、それって妄想じゃないの?」と思うかもしれませんが、これらは意味がまったく異なります。

「方向性」は「目の前の作業」とセットです。たとえば「今から山に登るぞ」という時の「山の頂上」は「登る作業」とセットだから「方向性」に当たります。

これに対して「妄想」は、目の前の作業から心が離れてしまう状態です。「想像」(イマジネーション)なら価値を持つことはあるでしょうが、「苦しみにつながる、目的の役に立たない妄想」は邪魔になります。だから「手放す練習」をするのです。

人が陥りがちなのは、感情や妄想に振り回され、集中したいのに集中できず、今ひとつ快(喜び・楽しさ)を感じられないという、すっきりしない精神状態です。

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