セブン改革第1弾、苦境ニッセンは上場廃止へ 西武百貨店2店の閉鎖と希望退職の募集も

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ニッセンの場合、本業のカタログ販売が苦戦したことで、オムニチャネル戦略で十分な機能を果たしていない。他方、セブン&アイから見ると当初期待していたニッセンの顧客基盤や物流網が活用できていない。セブン&アイがニッセンの買収に投じた金額は約133億円。その代償は余りにも大きい。

「小柄な女性専用」(左)や「長身の女性専用」(右)など、特殊なサイズセグメントのカタログ通販に、経営資源を集中させていく

では、今後、セブン&アイの完全子会社となるニッセンはどのような改革を講じるのか。

一つ目はアパレル通販においてニッセンが比較的得意とする大きめのサイズや小さめのサイズといった特殊サイズセグメントに経営資源を集中させるということ。

そのほか、セブン&アイグループ企業間における相互送客の実施、東南アジアを中心とした海外調達シフトによる原価低減の推進を図っていく方針だ。

さらなる止血策に踏み込むか

ニッセンとしては2018年度の営業黒字化を目標としているが、改善の進捗具合によっては昨秋実施したリストラ策に加え、さらなる止血策に踏み切ることも想定される。

完全子会社化が発表された同じ日、セブン&アイ傘下のそごう・西武は、業績が低迷していた「西武八尾店」(大阪府)と「西武筑波店」(茨城県)について2017年2月末に閉店すると公表。同時にそごう・西武の45歳以上の正社員を対象に、350人の希望退職を募集することも明らかにした。

セブン&アイが7月上旬に公表した2016年度第1四半期決算の説明会資料では「止血する」というテーマの中で「聖域を設けず現在精査中」との文言が入っていた。就任初年度でどこまでの膿を出し切ることができるか、井阪社長の決断が問われる。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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