トヨタとマッキンゼー、強さの根源は同じだ 基本中の基本、PDCAを極められるか

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PDCAの本質的な意味合いと実践的な方法とは?(写真 :xiangtao / PIXTA)
PDCAは、新入社員研修などでも教えられるビジネスの基本中の基本。しかし、「研修で教えられて、それっきり」「そんな基本を今さら……」という方も多いだろう。身近な言葉でなじんでいるにもかかわらず、これほど単なる掛け声程度にしか使われていない言葉も少ない。
トヨタグループ、マッキンゼーなどを経て企業改革ディレクターとして活躍している経験を著書『PDCAプロフェッショナル』にまとめた稲田将人氏に、PDCAの本質的な意味合いと実践的な方法論を紹介してもらう。

 

私はこれまで、不振企業の再建やV字回復を達成するための企業改革に数多く携わってきました。そこでの私の役割は、戦略立案だけではなく、戦略・改革を起動し軌道入れするディレクターでした。

低迷状態に陥っている理由は「市場との乖離」

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そのたびに思うのが、結局、企業が不振・低迷状態に陥っている理由は「市場との乖離を起こしている」の1点に尽きるということです。この「市場との乖離」は、組織としての「市場起点のPDCA」が機能していないために起こります。

不振に陥っている、あるいは、低迷している企業では、企画(Plan)を立案、実行(Do)し、その結果を検証(Check)して学習につなげ、そしてやり方、考え方を進化・改善(Action)させ、次の企画(Plan)の精度を上げるというPDCAの基本動作が、組織として機能しなくなっている実態がすぐに明らかになります。

なぜ機能しないかを見ていくと、「市場(あるいは顧客)は何を好み、何を受け入れていないのか」がよくわかっていない、以前はわかっていたが現在は更新されていない、あるいはあいまいなまま、感覚的な意見がまかり通っていることがわかってきます。結果、社内ではPDCAに基づいた議論ではなく、「議論の空中戦」が横行し、声の大きい人の意見が通るようになり、市場との乖離が起こっているのです。

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