トヨタとマッキンゼー、強さの根源は同じだ 基本中の基本、PDCAを極められるか

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一方、マッキンゼーは放置されていた、あるいは気づかれていなかった経営レベルの課題を明確にし、精緻にその解決策をつくり上げるためのフレームワークやツールを開発しています。そしてそれらを蓄積し、ファーム自体の能力向上に励んでいます。

生業・目的は違えども、問題解決能力を向上させ、組織として進化するために、それぞれがPDCAを高度に回して、自らの方法論を磨き続けているという点では共通していると言えるのです。

市場起点のPDCAを回す3つのポイント

市場起点のPDCAサイクルを組織で回すために知るべき3つのポイントをご紹介します。

1.机上の空論でPDCAを設計しない

トップが「自社のPDCAを強化しよう」と言い出し、その命(めい)を受けた経営企画部や外部のコンサルタントが報告帳票や会議体の設計を行います。「これで従来よりも精度の高いPDCAが回るはずです」と説明がなされ、PDCAの運用が始まります。しかし、報告内容に大した変化もなく、数字の変化もないまま、形骸化していくという経験のある事業責任者、経営幹部はかなり多いはずです。

ピラミッド組織の上長が、PDCAサイクルが確実に回る状態をつくる責任者です。まず、業務上のどのような問題・課題を解決して欲しいのかを部下に伝える必要があり、そして部下の立てた企画(P)の正当性を確認し、実践(D)の振り返り(C)で「理」に適っているかを確認します。それが容易になるように設計されるのが、報告帳票であり会議体なのです。

PDCAを回すためには、まず、その上長がイメージする事業運営ありきです。そして、そこで回すべきと考えるPDCAが実現されなければなりません。まず、自分の言葉でPDCAの意義や廻し方を語れ、具体的な指示ができるようになる必要があります。

報告帳票や会議の設計精度は確かに重要ですが、何よりも重要なのは、事業責任者やマネジャーが事業の成功をイメージした業務定義を行い、PDCAと事業の最適化の舵取りを行える状態をつくることです。本来、これがトップ付きの参謀機能の役割です。

次ページ2、3つ目のポイント
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