「日本人の留学」はどうすれば増えるのか? カギは「大学入試の改革」にあり

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次に、同じIIEのデータから「国別のアメリカへの留学生ランキング」を見てみよう。

2011年、日本の留学生数は、インド、中国、韓国などに大きく引き離され、7位にまで転落した。1994年~1997年の期間は、日本は世界第1位だったが、当時の姿は見る影もない。

日本の留学生数の減少は、中国と比べるとよりいっそうはっきりする。1997年まで、日本は中国を上回っていたが、1998年以降は中国が日本を上回り、ここ数年では、足元にも及ばない状況になっている。

特に、近年の中国の伸びは大きく、2010年から2011年の1年間で、留学生数は3万6471人も増加している。日本の2011年の留学生数が1万9966人なので、中国の単年度の増加数よりも少ない状況になってしまった。

以上が、「学生は内向き」と言われることの論拠である。

「データ」と「実感値」のギャップ

このような留学減少トレンドの中、ベネッセでは、海外トップ大進学塾「ルートH」の取り組みや、留学に関する高校での研修会、生徒向け講演活動を行っているが、問い合わせや講演依頼は、ここ数年で明らかに増えている。いや、「増えている」というより、10年前には、そのような依頼自体が「なかった」と言ったほうが正確であろう。

また、ベネッセの「海外進学サポートセンター」のサービスを通して、海外の大学へ進学した高校生は、2011年度の25名から、2012年度には135名へと増加。2013年度は200名近くに達する見込みだ。

この、高校からの海外大進学に関する、「データ」と「実感値」のギャップは何に起因するのか? 

その理由としては、今回の文科省公表データは、「大学院も含めた留学生の総数」であることに加え、集計年が2010年とすでに「過去」になっていることが考えられる。それを踏まえれば、結果としての「内向き志向」はここ2~3年は継続するが、その後、留学生の実数としては増加に転じると推測される。

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