「日本人の留学」はどうすれば増えるのか? カギは「大学入試の改革」にあり

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それでは今後、留学生数をさらに増やすために、どのような施策が必要であろうか? 私は、何よりも英語力向上であると考える。

下図のデータは、GTEC for STUDENTS(以下、GTEC)というベネッセが開発した中高校生対象のスコア型英語検定(2012年度の受検者数は61万人)のデータである。

このデータは、まず、各大学合格者の高校3年間のGTEC平均スコアを算出、それを、TOEFL iBT(インターネット版のTOEFLテスト、120点満点)との相関を基にして、「国内大学合格に求められる英語力」と「海外留学で求められる英語力」の差を推定したものである。ちなみに、GTECはリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの3技能を試すテストであり、810点が満点となる。

グラフには高校1年、2年、3年次のスコアを記している。GTECの全国平均スコアは、高校1年生で408点、2年生で445点、3年生で463点である。たとえば、3年生の463点という平均スコアを、TOEFLスコアに換算すると、 おそらく「30点」程度だろうと推測している。

旧帝大合格者でも、留学基準に遠く及ばない

早慶上智MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)と関関同立(関西・関西学院・同志社・立命館)の平均スコアは583点なので、TOEFLに換算すると47点程度になる。旧7帝大(北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州)のGTEC平均スコアは606点、TOEFLに換算すると50点程度ということになる。

各属性の数値とも、TOEFL iBTスコアの入学基準として求められている「アイビーリーグの100点」「海外4年制大学の80点」はもとより、「海外2年制大学の60点」にすら遠く及ばないことがわかる。

当然のことながら、海外の大学は、英語力向上に向けた「語学レッスン」を行っているのではなく、すべて英語でさまざまな学問についての「授業」を行っている以上、ある一定の英語力がないと海外の大学も受け入れることはできない。要するに、日本の高校生や大学生が海外の大学に正規留学するのは、依然、英語力の面で相当な壁があるということだ。

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