鉄道自殺防ぐ「ホームドア設置」は効果絶大だ 山手線23設置駅の人身事故は「ほぼゼロ」

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一方で、ホームドア未設置の品川、渋谷、新宿、東京、新橋、浜松町の6駅のうち、2015年1月以降、新宿駅で2人、渋谷駅と東京駅で各1人が、山手線での列車事故により死亡している。自殺かどうかは明らかになっていないが、このように未設置駅では死亡事故が続いているのだ。

ところで、ホームドア設置駅で人身事故が発生すると、インターネットにほぼ必ず「乗り越える人もいるのだから、自殺対策にはあまり効果がないのでは?」という意見が投稿されるが、ホームドアは人身事故だけでなく、自殺に対しても相当な予防(抑止)効果を発揮していることがわかる。

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つくばエクスプレスは開業時から全駅でホームドアを完備している

もちろん、ホームドアを乗り越える自殺とみられる事故は、年間1件程度のペースで発生している。

最近では2014年12月、つくばエクスプレスで開業以来2件目となる人身事故が六町駅(東京都)で発生し、ホームドアを乗り越えた女性が列車と接触し、負傷した。2016年1月には東急目黒線の不動前駅(東京都)で、男性がホームドアを乗り越え、線路内で列車にはねられる事故が起きている。

札幌地下鉄でも自殺を“完封”

ホームドアを乗り越えたが、はねられる直前で助かったケースもある。2014年6月、札幌市営地下鉄南北線の北12条駅で、男性がホームドアを乗り越えたが、列車が男性の約3m手前で非常停止した。もしこの男性がはねられていたら、すでに全駅のホームドア化を終えていた同路線にとって、初の人身事故になっていた。

札幌市営地下鉄は南北線、東西線、東豊線のうち、南北線と東西線で2013年3月までに全駅のホームドア化が完了していた。北12条駅での事故一歩手前のケースはあったが、全駅設置した翌年度(2014年度)以降、人身事故は1件も起きていない。南北線と東西線では、2005年度以降に計36件の人身事故と計23件の自殺があったが、山手線と同様、設置後は“完封(自殺ゼロ)”となっているのだ。

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