マイナス金利を「深掘り」するとどうなるのか ついに貯金が目減りする時代がやって来る?

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セゾン投信の中野晴啓社長は「すべての日銀当座預金の付利をゼロ、あるいはマイナスにすること」と言う。

現在、日銀当座預金で0.1%の付利が行われている残高は210兆円。10兆~30兆円がマイナス金利の適用で、45兆~65兆円は無利子になっている。「日銀当座預金のすべてを金利ゼロ、もしくはマイナスにすれば、辛うじてプラスの金利を維持している銀行預金の利率も、ゼロ%以下にならざるを得なくなる。法律で預金のマイナス金利適用は禁じられているといわれているが、恐らく口座維持手数料を取ることによって、実質的なマイナス金利にするだろう。個人は預金にお金を預けておくだけで、口座維持手数料によって残高が目減りする事態に直面することになる」。

個人預金を無理やりでもリスク資産に?

日銀の資金循環統計によると、2016年3月末時点の個人金融資産は、総額で1706兆円。このうち現預金は894兆円で、個人金融資産の52.4%を占めている。もし、この1割でもリスク資産にシフトすれば、景色は大きく変わるはずだ。

「さらに言えば、現在の量的・質的金融緩和では、マネタリーベースを年間80兆円増加するように金融調節を行っている。これを100兆円にしたら、恐らく40年物国債も含む全ゾーンにおいて、マイナス金利になるだろう」

ちなみに現時点において、マイナス金利になっているのは15年物国債までだ。とはいえ、巨額の財政赤字を抱える日本の国債を買い続けても大丈夫なのか、という疑問は拭い去れない。何らかの事情で国債価格が暴落したら、日銀のバランスシートは毀損する。

「国債の価格が暴落すれば、そういう事態も考えられるが、政府が発行した国債を日銀が買い入れるという流れが続く限り、国債価格の暴落はありえない。しかも、日本政府は諸外国に比べ莫大な資産を持っている。不動産のみならず、たとえば政府系機関を軒並み民営化すれば、1000兆円と言われる政府債務は、半減されるともいわれる。つまり国債価格が暴落することは、ほとんど考えられない」

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