マツダが「アクセラ」に込めた逆境打破の誓い 新技術は3割減に苦悩する国内販売を救うか

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従来のマツダはインセンティブ(販売奨励金)による値引きで販売台数を保っていたが、中古車の取引価格の下落を招き、顧客のロイヤリティ(忠誠度)も高まらなかった。マツダは新世代商品群の投入を機に、値引きを極力抑制した「正価販売」に本格的に舵を切り、インセンティブに回していた原資は商品改良や新技術の開発に振り向けている。

一般的に自動車メーカーの商品改良では、内外装のデザイン変更、新装備やグレードの追加が主流でエンジンなど主要機能の大幅な改良は少ない。一方、マツダは商品改良であっても、出し惜しみすることなく、新技術を投入していく。

細かい電子制御で乗り心地が向上

小飼雅道社長も登壇し、新技術をアピールした

今回の商品改良ではエンジンを中心に走行性能の引き上げにこだわった。ドライバーのハンドル操作に応じてエンジン出力を細かく調整し、カーブ時の揺れを抑える世界初の技術を採用。不快な揺れを減らし、乗り心地を良くした。

自動車はサスペンションなどがタイヤを地面に押しつけることでグリップが効き、カーブでも滑らずに曲がることができる。マツダはカーブで一時的に重心を前輪に移動することでより曲がりやすくなると考えた。

実際の仕組みは、カーブに差しかかるとエンジン出力を瞬間的に電子制御で弱め、車がわずかに前方につんのめる形になって重心を前方に移動するというもの。カーブから抜ける時にはエンジン出力を戻して、後方への重心移動を起こす。エンジン出力の微妙な制御は人間がまばたきを1回する約0.1秒の間に20回も行っているという。

この技術は、「スカイアクティブ」技術でより応答性が高まったエンジンとサスペンションがあって初めて実現できた。従来のエンジンでは応答性が低く、思い通りの制御ができないという。開発責任者は、「エンジン部門とサスペンションを担当するシャシー部門の連携が取れたことが大きい」と開発過程を振り返った。

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