ジョージ・ソロス「英国の離脱はEUを救う」

改革の好機ととらえれば崩壊はない

ロンドン中心部で行われたEU離脱に反対するデモ。7月2日撮影(写真: ロイター/Paul Hackett)

原文はこちら

英国国民が欧州連合(EU)離脱を決めるまで、欧州が直面する最大の課題は難民危機だった。難民危機はEU離脱という災難にも大きく影響した。

とにかく英国の国民投票の結果は衝撃的だった。投票日の翌朝、私にはEU崩壊が避けられない状況に思えた。しかし当初の衝撃が薄まるにつれ、予期していなかったことが起きている。投票に参加した多くの英国人に、「後悔先に立たず」という感情が芽生え始めているのだ。

実際に投票後、英国通貨ポンドは急落した。スコットランドでは住民投票を再実施する現実味が増している。離脱キャンペーンの主導者たちは内輪もめに陥り、離脱派たちの中にも、将来を悲観し始める人たちが出てきた。こうした世論の移り変わりは、国民投票のやり直しを嘆願するキャンペーンへと徐々に発展しており、すでに400万人を超える人がこれを支持している。

マイナス面ばかりではない

英国のEU離脱が負のサプライズであった一方、こうして自然に広がった後悔の念はプラスの反応だったといえよう。離脱をめぐる双方の立場の人々に加え、投票に行かなかった人々さえも立ち上がっている。こうした草の根的な政治への参画は、これまでのEUでは見られなかった現象だ。

英国では今、EU離脱で失うものばかりが強調されている。こうした懸念はマイナス面ばかりではない。この懸念がほかの欧州諸国に広がれば、欧州の団結へとつながる可能性がある。危惧されたEU崩壊のリスクが減るのだ。こうしたプロセスは英国から始まりうる。

国民投票の結果を覆せなくても、署名を集めれば、EUとの関係を見直すなど政治的状況を転換させることはできる。こうしたアプローチをほかのEU諸国も共有すれば、EUはいっそう強固になるはずだ。

次ページ次の焦点はイタリアだ
関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
地震と原発災害<br>原発最後の選択

四国・伊方原発、北海道・泊原発の地震対策に学者から異議が相次ぐ。地震の揺れの過小評価や活断層の見落としだ。電力会社任せの対策は疑念がぬぐえない。検証方法の確立が待たれる。