欧州委員会のトップは、引責辞任するべきだ 今のEUに必要なのは抜本的な改革

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EUが機能不全なのは欧州委員会のユンケル委員長の責任も大きい (写真: ロイター/Eric Vidal)

Brexit(英国のEU離脱)は、欧州連合(EU)に降りかかった過去最悪の事態といえるだろう。EUの役割を従来どおり保持したいなら素早く行動せねばならない。

キャメロン英首相は国民投票で敗北し、辞任の決断を下した。これは当然の選択である。一方で欧州にはもう一人の敗者がいる。欧州委員会のユンケル委員長である。

欧州委員会のユンケル委員長も引責辞任を

欧州委員会委員長のポストは、単一通貨ユーロ創設への道筋をつけたジャック・ドロール氏が任期を務めた1985~1995年以降、残念ながら明確なビジョンや卓越した政治力を持った指導者が就いていない。ユンケル委員長にも目立った功績はない。混乱期に必要なのは強い指導者だ。キャメロン首相同様、ユンケル委員長も責任を取って辞任すべきだろう。私なら後任にスウェーデンのカール・ビルト元首相を推す。

EUは離脱国に対して明確かつ厳しい通告をすべきである。そこでは離脱のコストを最小限にしなければならない。また他の加盟国が相次いで離脱しないように目を配っておく必要もある。

欧州委の首脳陣はすでにこうした方向に動いている。2月に英国と合意したEU改革案では移民の扱いなどをめぐり英国側に譲歩したが、6月にそれを無効とし、「再交渉はない」と宣言したからだ。

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