佐藤優の教育論「偏差値を追うと人格が歪む」

『子どもの教養の育て方』特別編(その1)

子どもの教養の育て方』(佐藤優/井戸まさえ)の中で、「教養=読む力+書く力+話す力+聞く力」について、それぞれの具体的な鍛え方を徹底解説している
"知の怪物"と呼ばれる作家の佐藤優氏は「現在の日本には3つのエリートがいる」と指摘する。
第一は、古いシステムを動かすノウハウを持っている「旧来のエリート」、第二は、社会、政治の混乱期に、急速なキャリアの上昇を行った「偶然のエリート」。この2つのエリートが日本を牛耳るかぎり、日本は閉塞状態から抜け出すことはできない。
今の日本に本当に必要なのは、第三の「未来のエリート」だ。子どもや若者が本物の教養を身につければ、日本は10年後に大きく変化する。
では、どうすれば若者は佐藤氏のような教養人になれるのか? どうすれば子どもを教養人に育てられるのか?――そんな疑問に、5児の母であり、前衆議院議員の井戸まさえ氏が迫る。
※本対談は『子どもの教養の育て方』の未収録部分を編集した特別版です

偏差値が高い学校が、いい学校とは言えない

井戸:親としては、子どもは勉強ができる子であってほしいし、偏差値の高い学校に入ってほしいと思いますが、それが本当に子どもにとって幸せなのかということについては、よく考えなければいけません。勉強以外のところで才能を持っている子もたくさんいるわけです。

偏差値を重視する子育てについては、どう思われますか?

佐藤:教育ということになると、どうしても偏差値とか進学とか、そういったことを基準に考えがちです。しかし、その弊害というのもすごくあります。経験から少しお話ししましょう。

僕の卒業した埼玉県立浦和高校というのは、県内の公立高校の中でも難しいといわれて、200点満点の試験で180点くらいとらないと合格しなかった。

井戸:全国の公立高校の中でもトップクラスの学校ですよね。

佐藤:それでちょっと話は飛ぶようですが、灘とか開成といった難関私立高校の入試は、中学の段階を超えた問題を出すんです。高校1年生の1学期終了分くらいまでの問題が出ます。そのわずか3カ月の違いが、入試のときの決定的な差になるんです。

これに対して浦和高校の場合は、埼玉県の統一入試だったので、中学の範囲を超えた出題はない。それだから、絶対にミスをしないというスタイルの受験勉強が必要になりました。こういう勉強は、官僚になるための準備としてはいいのですが、創造力はつきません。

外務省に入ってみると、雰囲気が基本的に浦和高校の繰り返しだったんですね。表面上はみんな愛想がよくて、要領がよくて、頭がいい。ただ、ほとんどが「一番病」なんです。

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