セブン、「そごう柏店」に続く閉店はあるか 「聖域を設けず」精査し、10月にも公表見通し

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イトーヨーカ堂は、すでに公表済みの40店を超える閉店に踏み込むのか(撮影:尾形文繁)

一方、昨年度に上場来初の営業赤字に陥った総合スーパー(GMS)・イトーヨーカ堂の第1四半期営業利益は4億円(前年同期は0.3億円)と増益になった。

ただ、こちらは広告宣伝費を大幅圧縮した効果が出たにすぎない。実際、既存店売り上げは2.9%減と、衣料、住居、食品の全部門でマイナスとなった。近年のGMS不振のトレンドを、好転させるには至っていない。

注目される10月の井坂社長の発言

今後注目されるのが、10月に予定されているセブン&アイの第2四半期(2016年3~8月期)の決算発表だ。5月に就任した井阪隆一社長は、第2四半期の決算発表と同時に、不振事業における改革案を公表するという方針を示している。

電撃引退した鈴木敏文氏がセブン&アイの会長だった昨年3月には、イトーヨーカ堂について、不振の40店を2020年までに閉店することを公表。うち20店は2016年度中に閉鎖する。百貨店についても今年9月末までに、西武旭川店とそごう柏店の2店を閉鎖する。

井阪社長はこれらのリストラに加え、さらなる止血案を策定すべく精査を続けている。冒頭の決算説明資料にあるように、「聖域を設けず」という方針で臨めば、閉鎖店が上乗せされる可能性もありそうだ。

また、鈴木氏が力を入れてきたグループ横断の通販事業であるオムニチャネル戦略も、軌道化しているとは言いがたい。井阪社長は「オムニは絶対にやり遂げる」と強調するが、どこまで具体的な成果を出せるかは未知数だ。

コンビニが好調の中、グループ成長の足かせとなっている事業についてどのように改善させていくのか。井阪社長に残された時間は多くない。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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