えっ、「PARCO」の「R」がない?渋谷で何が 8月7日、かつての若者の聖地が消える

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「PARCO」でなく「PA CO」? 選挙サンデーの7月10日・日曜日もイベントが開かれ、公園通りで足を止める若者でごった返していた(写真は7月4日、撮影:梅谷秀司)

渋谷パルコの看板から「PARCO」のRが取れ、「PA CO」になっている――。6月末、渋谷の若者たちの間で、このちょっとした"事件"が話題を呼んだ。

実は不具合があって取れたのではない。7月6日には消えた「R」をわしづかみにしたゴジラが壁面に登場。全国でファッションビルを展開するパルコは、旗艦店の渋谷店(東京・渋谷)を今年8月7日に閉館することを発表したのだが、ゴジラはそれに伴う閉店セールでタイアップしたものだ。「パルコが壊されてしまった」。そんな閉店までのストーリーを想像させる、遊び心たっぷりの演出である。

もっとも、閉店と言っても、渋谷パルコが永久に姿を消すわけではない。2019年秋にはオフィスビル併設型の新しい商業施設に生まれ変わる予定だ。東京都の再開発事業「宇田川町15地区開発計画」の担い手として、現在の「渋谷パルコパート1」、「同パート3」の2棟の建物を1棟に統合。入居するテナントは未定だが、コアなファンの多い「パルコ劇場」は、ほぼそのままの姿で甦る見込み。2020年以降は、渋谷駅の大規模刷新も予定されているため、人の流れも期待できそうだ。

オフィスビル併設の商業ビルに一新

8月7日に閉館を迎える渋谷パルコは、今、閉店セールまっ盛りだ(撮影:梅谷秀司)

地上12階分は、これまでの渋谷パルコにはなかったオフィスビルとなり、高い賃料収入が期待できる。延べ床面積は、現在の1.5倍の約6万5000平方メートルまで拡大する予定。パルコの牧山浩之社長は、「渋谷店を改装することで、パルコブランドの原点を見つめ直したい」と、建て替えの理由について語る。

気になるのは、渋谷店が3年間”欠場”することによる業績への影響だが、実際はそう大きく無さそうだ。渋谷店が全体の売り上げに占める割合は6%程度。渋谷店が欠けた分は、今年4月に仙台パルコの新館が、2017年秋には松坂屋上野店内に上野パルコがオープンすることでほぼカバーできる。さらに、利益面から言えば、2016年秋に同社の不動産事業である「ゼロゲート」が今年秋には広島に、2017年春には京都に出店することで、採算はむしろ改善する。

それでも、文化的な感度の高さを売りにしてきたパルコにとって、その象徴的な存在である渋谷店なき姿は、やはり心許ない。

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