サイバー攻撃リスクに対応する新保険が登場 AIUが全世界を網羅した商品を発売

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AIU保険会社は世界規模で展開する企業を対象に、サイバー攻撃で受けた情報漏洩などによる損害を手厚く補償する保険商品「サイバーエッジ」の販売を始めた。

サイバーエッジは全世界をカバー

これまでの一般的な個人情報漏洩保険が国単位で損害を補償する仕組みになっていたのに対して、同商品は全世界を補償対象地域としたうえで、個人情報や企業情報が漏洩した場合の損害賠償金や証拠保全のための調査費など各種費用を補償するのが特徴だ。オプション契約として、コンピュータネットワークが中断したことによる逸失利益も補償する。

6割以上の経営者が脅威を認識

AIUがサイバーエッジの発売に合わせてこのほど企業経営者200人を対象にした「経営者の情報リスクに関する意識調査」では、「情報漏洩に関するリスク」を脅威と感じる回答が81.0%に達した。「外部からのサイバー攻撃に関するリスク」についても、回答者の67.5%が脅威だと認識している。「サイバー攻撃を受けたことがある」、「受けたことがあると思う」との回答は13.0%にとどまるものの、海外拠点へのサイバー攻撃に対しては「対策が取れている」は22.6%にとどまるなど「無防備に近い」(同社)という。

「グローバル展開する企業では、本社による包括的なリスクコントロールの傾向が強まっている」とAIUの阿部瑞穂・経営保険業務部第一アンダーライティング課長は指摘する。そうしたことから、主に多国籍展開の企業をターゲットに、「初年度100社の契約獲得を目標にしている」(同氏)という。

保険料については「あくまで目安」(阿部氏)としたうえで「売上高100億円レベルのIT企業で補償限度額を5億円に設定した場合に年間400万円前後になる」(阿部氏)としている。証拠保全や侵入経路特定のためのデータ収集・解析などのフォレンジック作業については、「サイバーディフェンス研究所」(小林真悟社長)が緊急対応サービスを提供する。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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