「リフレ相場」に反応しない日本国債 国債の金利上昇は当面起きない?

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そういった日本国債市場の状況がある中で、日銀は22日にインフレ目標2%の内容を含む政府との共同文書を発表し、あわせて国債等の資産購入策を「オープンエンド」(期限なし)の方式に変える決定を行なった。日銀の資産購入の中心は国債であり、債券市場からすると、「オープンエンド」への変更が国債市場の需給に及ぼす影響が注目されるところである。

しかし、22日の決定においては、実質的に日銀の国債購入政策の強化は見送られている。2013年中は現行の購入方法が継続されることに加え、2014年以降の月間2兆円という購入ペースも、直近までの月間購入ペースとほとんど変わらない(若干下回る程度)。「オープンエンド」=「金融緩和強化」という理解は今回においては当たっていない。

日銀の国債購入拡大で金利は固定化

そもそも、金融緩和の程度を測る尺度として、ストックを重視するのか(従来からの残高目標管理)、毎月の購入額というフローを重視するのか(オープンエンド)という点について、実は明確なコンセンサスは存在しない。

日銀はこれまでストックを重視してきたが、これは、フローベースで購入量を決めてしまうと償還額の増減を吸収できないという理由があったと思われる。

しかし、市場の実感としては、フローの方が国債市場需給へのインパクトという点ではよりマッチしている。その意味では、今回、毎月の購入額と資産買入基金残高の年間増加額目途の両方を示しているのは、金融緩和の度合いを正確に示すという点では妥当な手法だと言えよう(基金残高も2014年中に10兆円程度増加するとしている)。

しかし、金融緩和の程度についてより正確な表現が採られるようになった上での判断として、今回は、日銀は実質的な金融緩和を見送ったということなのである。

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