吉野家、有名ラーメン「せたが屋」買収の思惑 ミスターラーメンと牛丼のコラボの行方は?
吉野家ホールディングスは6月27日、都内を中心にラーメン店を展開する「せたが屋」(世田谷区)を傘下に収めると発表した。創業者の前島司氏から、66.5%の株式を取得した。
カリスマの前島氏、あだ名は「ミスターラーメン」
同社は、2000年に前島氏が東京・世田谷区野沢に立ち上げたラーメン店。出身地である高知県土佐清水産の鰹節などでとった魚介ダシに、動物系スープ、特製醤油だれを合わせた「せたが屋ラーメン」が有名で、多くのメディア、イベントで紹介されている。
現在は都内を中心に、国内で14店舗、米国で3店舗を展開しており、年商は約15億円だ。
せたが屋を有名にしたのは商品開発のみならず、その営業スタイルにもある。従来は夜間のみの営業だったが、2001年から昼間に塩ラーメン専門店「ひるがお」として営業を開始。昼は「ひるがお」、夜は「せたが屋」というスタイルはラーメン業界で「二毛作」と呼ばれ、一世を風靡した。
その後も、醤油や塩などの調味料を一切使用しない「ラーメンゼロ」という店舗や、現在も従業員が全員女性で、ヨーグルトの酸味をいかしたつけ麺を提供する「小麦と肉 桃の木」(新宿区)を展開。こうした既存の概念にとらわれない、ユニークな商品や業態を立て続けにヒットさせてきたことで前島氏は「ミスターラーメン」と呼ばれている。
その前島氏率いる、せたが屋が突如、吉野家HDの傘下入りしたことで、ネット上では「経営危機だったのではないか」といった困惑の声が広がった。
当の前島氏は6月28日、自身のFacebook上で「せたが屋は創業以来15年間、売上高は前年対比を割り込んだことはありません、緩やかではありますが右肩上がりで成長してまいりました」と反論している。
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