世紀の瞬間である。6月23日、EU離脱の是非を問う英国の国民投票は、現地時間の午前7時から始まり、午後10時に終了する。即座に開票作業が始まり、結果が出るのは24日(金)の未明になる見込みである。
これを日本時間に直せば、ちょうど23日午後3時に投票が始まり、翌24日午前6時に投票が締め切られ、昼頃に大勢判明ということになる。出口調査は行われないらしい。ゆえにブレグジットのありやなしや、という結果を最初に試すのは、われらが東京株式市場ということになる。ああ、なんと名誉なこと。でも、率直に言えば運が悪いよね。
リスクオフかリスクオンか
そもそもユーロ離脱をめぐる国民投票が、なぜ木曜日でなければならないのかがわからない。責任者出てこい、と言いたいところだが、仕方がないから重大決定を明日に控えてこの原稿を書いている。ブレグジットの是非については、いまさらここで論じても間に合わない。問題なのは、この手の事件があるたびに生じる「円高懸念」についてである。
前回、山崎元さんが「このままだと1ドル90円台も」と評していた。確かにブレグジットが起きてしまえば、1ドル100円割れでも不思議はなさそうだ。問題は、なぜそういうメカニズムが働くのか、である。
よくテレビなどで、「リスクオフで安全資産である円が買われて……」という説明が流れる。あれを聞くたびに、「円が安全だなんて、ホントかよ」と首をかしげている人は少なくないだろう。ただし今回の場合、資産の多くをポンドやユーロで保有している人にとって、ブレグジットは気が気ではない事態であるはずだ。そこで国民投票で「離脱」の動きが強まると、資産の一部を円に替えようとする動きが生じる。これは致し方ないところである。
むしろこんな風に説明する方が、より納得感があるかもしれない。
低利の円を調達して、新興国の高利回り資産などに投資していた投資家が、「こりゃいかん」とばかりに取引を解消する。そこで巻き戻しの円買いが起きるから「リスクオフの円高」になる。
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