英国残留「株価の戻り」は絶好の売り場になる その場合メドとなるのは1万6800円以上だ

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離脱ならポンドは20%以上下落するというジョージ・ソロス氏(ロイター/アフロ)

いよいよ英国の国民投票が本日(23日)に実施される。早ければ、明日(24日)の日本時間の正午には結果が判明する見通しである。結果がどうなるかは、神のみぞ知るといったところだが、市場参加者は考えられる可能な限りのシナリオを立て、それに備えているころであろう。前回の本欄でも書いたように、いまから結果を予想し、その方向にポジションを傾けることはできない。あと1日、結果を待ち、市場の反応を見たうえで戦略を考えるのが賢明だ。

市場が懸念するのは、国民投票の結果が離脱多数となった場合であろう。米著名投資家のジョージ・ソロス氏は、離脱が決まった場合、ポンドは20%以上の下落になるとの見通しを示している。同氏は言わずと知れたヘッジファンドの雄であり、最近になって現場復帰したことが報じられている。また92年のポンド危機の際には、ポンド売りを仕掛け、ポンド相場を大幅に下落させた実績がある。

ソロス氏はポンド危機以上の影響を指摘

当時のソロス氏は、ポンドが欧州通貨制度の枠組みを整える過程で、ポンドが実力以上に高いことを見抜き、空前の規模の売り仕掛けを行った。これに対して、英中銀は一日で3%もの利上げを行うなど、ポンドの暴落に歯止めをかけようとした。しかし、そのような政策はまったく意味をなさず、結果的にポンドは15%もの暴落となったのである。ソロス氏は、今回の離脱のポンドへの影響は当時より大きいと指摘しており、実際に離脱決定となれば、ポンド安は必至とみられている。

ソロス氏がそのような見方をしたからと言って、必ずそのようになるとは限らない。また、結果的に残留多数になる場合もある。むしろ、現時点ではその可能性のほうが高いとみられており、市場への影響は限定的との指摘もある。残留は現状維持でもある。心理的な不安が払しょくされるため、市場では残留を買い材料とする向きも少なくないようだが、それは違うだろう。むしろ、格好の売り場を提供するだけにとどまるとみている。

特にドル円や日本株については、特にその傾向が明確に出るだろう。ドル円の戻りメドは106.80円、108円、109.50円が候補となる。108円を超えるのはかなり難しいとみているが、相場である以上、何が起きるかはわからない。しかし、戻した場合でも最大で111.40円までと考えているため、108円以上は売り上がればよいと考えている。

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