東芝、室町氏は特別顧問で「外から見守る」

もう売るものはない、問われる新体制の実力

東芝では、不正会計問題があった昨年と違い、今年は”通常”通りに株主総会が開かれた(記者撮影)

「経営の一線を退き、取締役会の外から見守っていく」――。6月22日、東京・両国の国技館で開かれた、東芝の定時株主総会。総会後に退任、「特別顧問」になる室町正志社長は、疲れ切った表情でそう挨拶した。新社長に就任する綱川智氏がこれに続き、「聞く耳を持ちつつ、邁進して行く」と決意表明をした。

東芝は昨年、不正会計問題が発覚したため、定時株主総会までに有価証券報告書を提出できず、6月と9月に2度、総会を開催。昨年の総会では、「こんな情けない東芝は初めてだ」「土光さんの墓前で土下座しろ」などと、過激な言葉や怒号が飛び交っていた。だが、今年は一部の株主が動議を起こす場面もあったものの、昨年のように大きな混乱はない。ただ、1万人を超す大規模のリストラ、優良子会社である東芝メディカルシステムズの売却など、引き続き厳しい環境下での総会となった。

今回の総会では、資本金の減少や取締役10名の選任、会計監査人の変更など、4つの重要な会社提案が可決。会場を訪れた株主は2089人と減少(昨年6月は3178人)。閉会までの時間は2時間58分(同3時間16分)と短縮された。冒頭、室町正志社長を含む、役員全員が頭を下げて謝罪した。

取締役は指名委員会で検討する

質問に立った株主は計20人で(昨年6月は25人)、テーマは不正会計問題への疑問や今後の体制についてが多かった。事業についての質問では、米原子力会社のウエスチングハウス(WH)ののれん代2476億円を減損処理したこともあり、原子力事業に関するものが多数を占めた。

株主と経営陣との主なやり取りは以下のとおり(役職名は総会時点)。

――不正会計をやらないようにするために、監査法人を変えたりしているが、経理を守る体制を取ってほしい。私は東芝ケミカルの経理で働いていたが、京セラに売られてしまった。稲盛和夫さんの力はすごいと思った。みんな人が変わった。稲盛さんみたいな人を導入できないのか。

室町社長:経理・財務の独立性の担保と、社長に対する牽制機能を、大幅に強化している。従来、最高財務責任者(CFO)の任命権と退任権は社長が持っていたが、それらの権限を指名委員会に委譲している。カンパニーにおいても、カンパニー社長とカンパニー経理部の間に、直接的な指示系統がない。構造改革で、財務の独立性、牽制機能は十分に構築できた。

稲盛さんの件は、貴重な意見として賜りたい。取締役の選任は、全員社外の取締役で構成される、指名委員会で議論している。社外の有力な方の登用も、絶えず視野に入れて、検討をしていただいている。今回、新社長は社内の者を登用しているが、社外の方々も検討した結果だ。

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