原発、再稼働理解求める「前線基地」の重責 不安解消へ「少人数でもご案内します」

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見学会参加者を乗せて原発構内に入るバス=東松浦郡玄海町の玄海原子力発電所

「少人数でもご案内いたします」――。

玄海原発(東松浦郡玄海町)から30キロ圏にある1町3市のケーブルテレビで流れる九州電力のCM。玄海原発3、4号機の再稼働へ向け、原子力規制委員会の審査が進められているなか、住民の不安解消へ実際に構内を見てもらおうと見学会参加を呼び掛けている。

朝夕、土日、正月も関係ない

当記事は佐賀新聞LIVEの提供記事です

九電が昨年7月、玄海原発近くに新設した原子力コミュニケーション本部の玄海事務所。担当する社員は「言葉だけでは伝わりにくいし、実感は湧かない。福島の事故は何が問題で起きたのか、現地で説明すると頭の中に吸い込んでもらえる」とCMをはじめとする理解活動の狙いを語る。

2013年から期間限定で配置した「玄海駐在」を引き継ぎ、本部副部長だった所長以下22人態勢を敷く。玄海町や唐津市はもちろん、伊万里市や長崎県松浦市にも気を配る。700人を超える管内の区長、農協や漁協、商工会、婦人会の会合に出向き、「朝夕、土日も関係ない。正月に呼ばれたことだってある」と担当者。まさに地元理解を深める「前線基地」だ。

原発見学会は県内外の団体参加もあり、福岡県の男性(28)は「安全性を強調していた印象。どこまで本当かは自分では分かりかねるけど、説明自体は分かりやすかった」と感想を語った。

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