舛添都知事が一転して辞職を決断した事情 いつ誰と何の取引をしたのか

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その中で実際に行動に移したのは、これまでも知事選、参院選などに出まくって惨敗を続けているマック赤坂氏だ。マック氏は15日の東京都議会本会議を傍聴しにやってきたが、その目的は立候補の意思表示をアピールするためだったといえる。

「お疲れ様でした。ゆっくりお休みください。あとはマックにお任せ下さい」。午後6時10分に再開した本会議場で、マック氏は傍聴席から知事席に座った舛添氏に“弔辞”を投げかけた。

すぐさま衛視2名と都議会の職員数名がマック氏のところに駆け寄って制止し、その後も要注意人物として監視されていたが、マック氏は本気のようだ。本会議が開始された午後5時には、傍聴席で立ちあがってこう宣言している。

「知名度重視」が問題を引き起こす

「マック赤坂が知事になります」。マック氏は本会議の後、東京維新の会や民進党都議団などの控室を訪問し、次期知事選で推薦してくれるように依頼もしている。しかし、言うまでもなく知事選は「早い者勝ち」ではない。

むしろ、強い候補は「後出しじゃんけん」をする。1999年の東京都知事選に出馬した時の石原慎太郎氏のように、「後出しジャンケン」が有利なこともある。また1350万人もの人口を有する大都会・東京では、当選するには知名度も必要だが、今回の舛添氏の知事辞職をきっかけに知名度偏重を反省しようという動きもある。

東京都知事選は7月31日か8月7日に行われると見られる。7月10日の参院選が終わって息をつく暇もないが、次の知事こそ政治とカネとは無関係の人物を選びたい――。それが都民の願いではないだろうか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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