「再稼働は皆さんが思うほど簡単じゃない」 原子力規制委・田中委員長に聞く

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9月19日の発足から約3カ月が経った原子力規制委員会(規制委)。放射性物質拡散シミュレーションの公表で何度も訂正する失態を演じ、能力不足との批判を浴びた一方、原発敷地内の断層調査では「活断層である可能性が高い」との判断を行い、かつての規制当局との違いを印象づけている。今後の焦点は、原発の再稼働のための新たな安全基準をどのように策定していくのか、世界最高水準の安全性を本当に確立できるのか。田中俊一委員長に単独インタビューした。

大飯原発の判断は敦賀原発とは違う

――田中委員長は就任時から、日本の原子力規制をつねに世界で最も厳しいレベルに維持し、安全性が「グレー」の場合には、より安全側に立つとのスタンスを明らかにしている。しかし、現在3、4号機が電力需給逼迫を理由とした"政治判断"で国内唯一稼働を続けている関西電力の大飯原発に関して、11月の規制委による断層調査では「重要施設直下の断層は活断層を考えても矛盾はない」としながらも、運転停止を求めようとしない。調査した有識者の中にも即時運転停止を主張する人もいるが、規制委としてなぜそうしないのか。

科学技術的にデータを出して「グレー」であれば安全側に立つという判断もあろうが、大飯の場合は調査した専門家の間で、活断層であるという意見とそうではないという意見で分かれた。活断層だと言いたい人は、どうであってもずっと活断層だと言いたがる。しかし、それは科学とは違うから、私はもう少し調べてくださいと言った。それで今、早急に調べようとしている。

単なる不十分なデータを基に白黒の決着をつけてよい、という簡単な事柄ではない。敦賀原発のように(活断層の可能性が高いということで)意見が明らかに一致すれば、その場で私も感想を述べたように「現段階では(再稼働は)難しい」となるわけで、それぐらい(意見を)明確にしてほしい。

大飯はそうした判断ができないということだ。山の上のトレンチを掘ったらF-6断層(活断層と疑われていた断層)の場所とはずれていたし、海側に地滑りしたのではという説もある。その可能性を強く指摘している岡田篤正教授(立命館大学)は日本の変動地形学で草分け的な方だ。だからこそ、きちんと明らかにすべきだと考えた。明らかになった時点で(運転停止要求を)やればいい。

それに、大飯原発に今、差し迫った危険があるかについては、そうではない。ストレステストや政府の判断を鵜呑みにしているわけではなく、仮に(断層の直上にある)冷却用取水配管が地震で壊れたとしても、どれくらい冷却できるかなどは把握している。

大間や六ヶ所村を含め下北半島全域は断層調査の必要あり

――大飯、敦賀、東通の3件の規制委の断層調査により、電力会社がこれまで行ってきた独自調査の信頼性が失墜した。規制委の断層調査はもんじゅを含めて6カ所に限られているが、ほかにも疑問視されている原発があり、調査対象を拡大すべきではないか。

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