日本株だけ「出遅れ放置」が続いている理由 長期筋も短期筋も海外投資家は様子見状態

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14~15日に開催されるFOMC。イエレンFRB議長の会見に注目したい(ロイター/アフロ)

年初来の株価の動きを振り返ってみると、主要国の株価指数は、1月には新興国を中心とした懸念(原油・資源価格の下落による産油国・資源国の経済・財政懸念や、中国の景気失速懸念など)により、また2月には先進国発の不安(米国経済の悪化観測やドイツ銀行の経営不安説など)により、調整を余儀なくされた。

しかし多くの国の市場では、そうした悲観は一巡し、たとえば米国のNYダウ指数は、4月に年初来高値を更新し、今もそれに近い水準にある。また経済実態が著しく悪いはずの、ロシアやブラジルにおいても、株価指数は1~2月の下落分を上回る回復をみせた。例外は、底入れはしたものの、底ばいを続けている中国上海総合指数くらいだろう。

米国証券と貴金属市場のシンクロニシティ

このように、年初来の動きだけをみても、世界の株式市況は最悪期を脱する流れに入っていると考えられるし、もっと長期的な視野である2つの異なる市場を眺めても、現在は悲観脱却の初期にあたると考えられる。その1つは米国株式・債券市場であり、もう1つは貴金属市況だ。

まず米国証券市場について、イールドレシオ(=長期金利÷益回り=長期金利×PER)をみてみよう。この数値は、米国経済に対する悲観論が台頭すると大きく低下する。なぜなら、足元の企業収益が高水準でも、先行きを警戒すれば株価が先行して売られPERは低下する。景気悪化観測が広がることで、長期金利も低下するためだ。

毎週のイールドレシオの平均値(長期金利は米10年国債利回り、PERはS&P500指数ベースの予想PER)でみると、近年の最低値は、まず2008年12月26日(に終わる週、以下同様)で、これはリーマンショックだ。続いて2012年7月27日に底をつけており、これはスペインの財政危機時に相当する(ちなみに、その少し前の2011年9月23日にも、それには及ばないが浅い底を形成しており、これはイタリアの財政懸念が膨らむ過程に当たる)。この2008年と2012年のイールドレシオの底値の間隔が、187週に相当する。

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