スマホに復活する「タイムマシン経営」 回れ回れインターネットゴーラウンド

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この構図もLINE POPが初めてではない。例えば、09年にSNS「mixi」で公開され、多数の“中毒患者”を輩出した「サンシャイン牧場」という牧場経営ゲーム(当時はPC専用)。mixiの友人(マイミク)と点数ランキングを競ったり、友人の牧場の手入れするなど競争・協力するのが楽しく、家庭用ゲーム機を買ってまではゲームしないライト層も巻き込み、当時のmixiユーザーの間で一大ムーブメントを巻き起こした。

調べてみると、サンシャイン牧場のゲームシステムもオリジナルではなさそうで、それ以前にFacebookで大流行していた「FarmVille」という牧場経営ゲームが“元ネタ”のよう。FarmVilleは、スーパーファミコンで人気だった「牧場物語」を参考に作られているともいわれており、やはり、同じ構造のゲームが、プラットフォームや端末を換えて繰り返し流行している、ということだろう。

SNSも繰り返す

ゲームだけではない。SNSのようなソーシャルプラットフォームも、端末の進化に伴ってユーザー層が拡大し、同じ体験が拡大再生産されている。例えばmixiは、2004年当初はPC専用で、PCを毎日のように使う一部の人のみが利用していた。その後、携帯電話の普及でモバイル版を使う人が増え、PC版ユーザーを逆転。「中学の同級生と再会できる」「コミュニティで同じ趣味の仲間と出会える」など、PC版のユーザーが過去に体験したSNSの興奮が、ケータイを通じ、新たな利用者層に拡大再生産されていった。

Facebookの使われ方を見ていても、似たことを感じる。初めてのSNSがFacebookだったという人は中高年層に特に多く、若年層がmixiで知ったSNSの感動が、中高年層に拡大再生産されている。また、過去に2ちゃんねるなどで流行したネタ画像や文章が、FacebookやTwitterに転載され、大量に「いいね!」やRTを集めているケースもよく見る。既存のネタをまるまるパクって自分のもののように振る舞うのは何だかなあ、と思いつつ、同じネタが再び受けるのは、2ちゃんねるなどではリーチできなかった層にFacebookやTwitterが届いている証しだろう。

タイムマシン経営、再び

00年前後のネットバブル頃に流行した「タイムマシン経営」という言葉がある。米国など海外のネットビジネスをそのまま日本に輸入し、成功させるビジネスモデルで、ソフトバンクグループの孫正義社長が名付けたとされる。実際、孫社長は創業期の米Yahoo!に投資し、日本でも展開して成功させるなど、タイムマシン経営を成功させてきた。mixiなど日本のSNSは、米国で流行していたSNSを輸入してヒットしたものだし、ブログもそうだった。

2000年代後半には、日本のネットで流行するものと海外のそれとは異なるとみられるようになり、タイムマシン経営という言葉もあまり使われなくなっていた。

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