ゴーン・ショック以来の鉄鋼不況 神戸製鋼がついに管理職給与カット

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海外からの流入や中国メーカーの台頭による鋼材市況の悪化――。日本の鉄鋼メーカーをめぐる業況が厳しさを増す中、高炉大手の1社、神戸製鋼所がついに管理職給与カットにまで踏み込む。

神戸製鋼所は12月10日、業績低迷を受けた収益改善策の一貫として、役員報酬の削減幅拡大と管理職給与の削減に踏み切ると発表した。役員報酬の減額幅を従来から10ポイント広げ17%減にするとともに、管理職給与は5%を削減する。

高炉大手で役員報酬や管理職給与の削減を発表するのは、神戸製鋼所が初めてだ。鋼材市況の悪化を受けて、鉄鋼事業の業績が低迷。今2013年3月期は600億円の最終赤字を計画しており、人件費圧縮によって、早期の収益改善を目指したい考えだ。

役員報酬の削減は約30人が対象。すでに12年4月以降、平均7%を減額してきたが、今月分から平均17%減に拡大する。一方、管理職給与を減額するのは、カルロス・ゴーン社長の主導による日産自動車の調達見直し、いわゆる”ゴーン・ショック”で鉄鋼業界が不況に陥った02年以来の措置だ。出向者を含めた約2000人を対象に、13年2月支給分から平均5%を削減する。合わせて年間数億円のコスト削減効果が見込めるという。対象期間は未定だ。

中国メーカーの台頭など響く

12年以降、海外材の流入や中国メーカーの台頭によって、鉄鋼業界では製品の価格が低迷。厳しい事業環境が続いている。神戸製鋼所では前12年3月期に、主力の鉄鋼事業だけで146億円の経常損失を計上した。さらに今13年3月期は、430億円の経常損失を計画している。

神戸製鋼所では10月、収益改善を目的に「体質強化委員会」を立ち上げた。今回発表した、役員報酬と管理職給与の削減は、「体質強化委員会」で検討した施策のひとつ。早期の最終黒字転換を目指し、今後も収益改善への取り組みを進めていくという。

小河 眞与 東洋経済 記者
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