村上隆(下)「クールジャパンはアホすぎる」 「未来国家・日本」が抱える大問題

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日本の新しいモデルを創る「新世代リーダー」とはどんな人なのか。どんな能力、教養、マインドセット、行動が必要となるのか。国内外のリーダーを知り尽くした、各界の識者たちに「新世代リーダーの条件」を聞く。
第4回目は、現代美術の世界でグローバルに活躍する、アーティストの村上隆さんに、世界で勝つために重要なことは何か、について聞く。

 

※インタビュー(上)はこちら

日本はSFの管理社会そのまんま

――日本は「未来国家」だと指摘していますが、どういう意味でしょうか?

悪い意味でです。民主化を超えたスーパーフラットな監視社会が自然発生的にでき、そのストラクチャーは草の根ゆえに強固です。成功者を妬み、引きずり下ろし、失敗をあざけり笑い、楽をしたいと思い、だらだらと生きている者たちが心の平静を保つ。

国家債務が限界を超えても、その責任を取ろうとするコンセプト1つ出てこず、大衆は文句を言い続けながら怠惰な生活を留保し続けられると信じている。批判精神さえ持ち続ければ自分は、世界は正義なのだ、という無軌道な信心がある。これ、SFに出てきた未来の管理社会の風景そのまんまじゃないですか。

そして、これだけのデフレ社会でも、人々の幸福度がおそらく20年前よりも上がっている。その異常事態に気がついていない住人としての日本人は、未来社会を生きているといえます。

――世界で勝つためにも、まず戦勝国のルールを学ぶべきだと提唱しています。

え?そんなこと言ってないです。コンテンポラリーアート界を牽引しているのは、戦勝国のアメリカとイギリスです。だからそこを学べと言っているわけであって、曲解してしまうとダメですよ。

あくまでアートの世界の話であって、ほかはどんなもんか。じゃあ、中国はどうよ、となるでしょう。とはいえ、今も欧米が経済のルールを作り、改変するダイナミズムを持っているので、マイノリティがいくら頑張っても、搾取はある程度行われてしまう。それをしょうがないと思ってあきらめるか、ルールを学んで二枚舌で頑張るかのどちらかしかないですね。

マイナーな国々でも、独自のルールに誇りを持ち続けています。その国にフィットさせるためには、言語を習得するといった技術面だけでは不十分です。「相手が何を望んでいるか」を集中して考えれば、ピピッとそのフュージョン(融合)の勘所がわかるではないかと思います。

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