日本板硝子、巨額赤字からどう立て直すのか

業界のライバル企業からは周回遅れ

業績回復もつかの間、巨額の赤字に沈んだ日本板硝子。何が原因だったのか?(撮影:尾形文繁)

好事魔多し、なのだろうか。日本板硝子は2015年3月期に4期ぶりに純益黒字に転じたものの、2016年3月期は再び赤字に転落。しかも、過去最大規模、498億円という巨額な純損失を計上した。この責任を取り、森重樹社長は基本月額報酬を5割削減(3カ月間)、クレメンス・ミラー副社長と諸岡賢一副社長も3割削減(3カ月間)することを決めた。

2016年3月期も、期初段階では20億円の純益黒字化が見込まれていた。だが、同年8月にはベトナムのディスプレー工場で、生産を開始したばかりのラインでトラブルが発覚。当初は軽微とみられたトラブルが、時を経るにしたがって傷口が広がってきた。

そこに追い打ちをかけるように、ディスプレー市場自体に変調が生じた。2016年1月時点ではすでに中国市場での減益がカバーできないほど膨らみ、75億円の純損失が見込まれるようになっていた。

350億円を超える減損損失

IFRS(国際会計基準)においては、減損テストは期末に1回しか行わない。期中で需給バランスが悪化し、減損損失が発生する蓋然性が高まろうと、それが会社計画に反映されるのは期末決算が近づいてからだ。

このため、海外各地の事業環境見通しが悪化していることがより明確になった第4四半期に入ってから、唐突とも思える大幅な下方修正が行われたのだ。結局、中国での建築用ガラス事業やディスプレー事業、ブラジルの自動車ガラスで想定した利益が得られず、工場やのれんの減損、持分損益悪化、リストラ費用などで総額350億円強の損失計上を余儀なくされた。

日本板硝子は2006年、板ガラスメーカーでは当時の世界シェア3位、円換算で自社の約2倍の売上高を誇った英国ピルキントン社を買収した。「小が大を飲んだ」と注目を集めたのも今は昔。板ガラスの世界シェアではトップクラスに躍進したものの、その買収によるシナジーが業績に表れることはなく、リーマンショック後の2009年3月期から純損失に沈潜。2011年3月期に1度浮上した後も、再び水面下に沈んでいた。

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