怒濤の復興チャリティーオークション 個人のつながりから動き出す復興支援

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何をどうやったって、僕に同じことはできない。でも、信じられないくらい悲しい経験をした人の心と、正面から向き合ってどんと接するということ。

下手に気を使うのではなく、そうやって力強く手を差し伸べる。自分なりのやり方で、そういうことができるような人間になりたい、そう強く思った。

広がるチャリティーの輪、そして……

泉谷さん以外にも1年間、ものすごい数のオークションをこなしてくれたソニーミュージックアーティスツの皆さん、マンガの町・石巻を支援したいと思いを語ってくれた里中満智子先生たちマンガジャパンの皆さん。

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とにかく沢山の方がオークションに参加してくださった

チャリティーオークションで最高落札額をたたき出した際、わざわざ海外からねぎらいの電話をくれたYOSHIKIさん、などなど。皆さん、われわれヤフー社員にも直接思いを伝えながら、オークションを開催してくれた。

一方、Yahoo!オークションを利用している一般のユーザーからも、著名人同様のチャリティーオークションを実施して落札金を集めたいという声や、Yahoo!ショッピングのユーザーからも自分たちにできる支援はないのかという声をいただいていた。

そこで実施したのが、一般ユーザー向けの「みんなのチャリティー募金」である。Yahoo!オークションに出品するときのオプションとして、落札額の一部(10%)か、もしくは全額を被災地支援のために募金できるシステムと、Yahoo!ショッピングでも対象商品を購入すると、「10円募金」ができる仕組みを用意した。

Yahoo!オークションでは約1億9000万円、Yahoo!ショッピングでは約5600万円(12年11月末現在)の募金を集め、その全額を赤い羽根共同募金の支援金として募金している。

ここまで、無我夢中でがむしゃらに回してきたチャリティーオークション。実は途中から大きな課題も浮上していた。

オークションを開催するには、誰かが出品作業をしなければならない。入札者からの質問に答えたり、落札されたあとはこまめに落札者と連絡を取り合い、お金のやりとりをしたり商品の発送をしたり。それを、著名人の方たちにお願いするのはもちろん無理な話だった。

かといって、個人間取引のプラットフォームを提供している立場の僕たちヤフー社員が、直接そういう作業をやるわけにもいかない。そこで、出品代行をビジネスにしている人たちにおカネを払って作業をお願いすることにした。

代行会社の方々は、ご厚意で通常より格安で対応してくれた。が、かなりの量のオークションを開催していたため、数百万円のコストが発生してしまった。

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