100冊読んでも変われない人に欠けた視点 プロは読書をこうして武器にする!

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1は、解説やダイジェスト本を読むことでも得られるが、その要旨が正確だという保証はない。2は、じっくり読んで理解することで見えてくる。3は、その本の関連図書類を丹念にあわせ読み、かつ時代考証や影響を与えあっている周辺の書物の読書などの作業が必要になる。4がわかれば、著者の独創性が何かを知ることができる。というのも、知識の独創的なつなぎ方ができる人こそが独創的な著者だからだ。

勉強する時間がないあなたへ――時間を延ばす秘訣

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ここまで「読む」勉強術をお伝えしてきた。

しかし、正直なところ、「毎日仕事が忙しくて、勉強に割く時間が足りない。時間がもっとほしい」と思っている人も多いのではないだろうか。もっと多くの時間が欲しいと思うのなら、時間を増やせばいい。

そんなことを言うと、多くの人は「1日は24時間しかないのに、それを30時間にできるわけがない」と思うだろう。

ところが、ごく少数の人だけは、時間はいくらでも増やせるものだと実感している。彼らは、一般的な時間は自分の外側にありながらも、自分の時間は自分の内側にあると考えている。自分が自分の時間を支配することができることを知っている。

では実際どうしたら、自分が自分の時間を支配することができるようになるのだろう。たった2つのことをすればいい。この稿の最後に、その方法をお教えしよう。

(1)心配、妄想、自己採点をしない

妄想を棄てる。心配をしない。予想もしない。後悔や反省や自己採点をしない。心配や妄想、後悔は、考えとは異なる。対処しなければならない悩みは紙に書き出し考える。そうすれば、現実的な対処方法を出しやすくなる。

(2)時間計画を立てない

時間を無視するのだ。残り時間を気にしたり、残り時間を配分したりしないことだ。何を言っているのだと反論したくなるかもしれない。

しかし、組織のチームワークによる作業でない場合、時間配分をすると効率的になるような気がするのは、最初の気持ちだけだ。あたかも時間など存在しないかのように自分の好きな事柄にどっぷりつかっていれば、永遠の中にいるように感じられるし、手掛けていることが現実の中ではかどる。集中して心理的な切迫がないからだ。

自分の可能性を広げるために、自分の心のままの勉強にどっぷり浸る。こういう時間を手に入れてみると、自分の時間が豊かになるのを感じることができる。忙しいビジネスパーソンにこそ、ぜひ試してみてほしい。

白取 春彦
しらとり はるひこ

1954年、青森市生まれ。ベルリン自由大学で哲学・宗教・文学を学ぶ。哲学と宗教に関する解説、論評の明快さには定評がある

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