スズキの「燃費測定不正」はどれ程悪質なのか 国交省は5月末までの調査待ちで判断を保留

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燃費性能に問題がなかったこともあってか、スズキ側の罪の意識は乏しい。対象者の処罰について問われた修会長は、「燃費をよくしようと手を抜いたなら問題だが、善意でやったということになると、人情的に考えないといけない」と強弁した。

当然、この認識は正当化できない。国交省の担当者は「法令に合っていないため不適切。けしからんことをやっている」と切り捨てる。

スズキは販売を続ける考え

今年3月に国内でお披露目したばかりの「バレーノ」も不正対象(撮影:梅谷秀司)

ただし、スズキと三菱自の不正の悪質度合いが同じかというと、それも違う。

三菱自に関しては、不正の中身が大きく三つに分けられる。(1)燃費をよく偽るための改ざん、(2)実測に基づかないデータの机上計算、さらに(3)国の定めと違う測定法の採用、だ。

法令違反という点では同じなのだが、悪質性では(1)、(2)、(3)の順となる。スズキの行為は(3)に近い。

三菱自は燃費改ざんがあったと認めている軽4車種は製造・販売を中止しているが、(2)(3)があった車種については販売を継続している。

スズキも「燃費に差はないので、私どもといたしましては(販売を)続けさせていただくという考え方」(修会長)と、対象車種について製造・販売の停止を否定する。なにしろ、不正対象は現在、スズキが国内で販売している全車種だ。これがすべて販売停止となれば、その期間などにもよるが、同社は深刻な危機にも陥りかねない。

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