三菱自動車の「焼け太り」を非難できない理由 日産の傘下入りは虫がいいが利点も大きい
「え?こんなに早く記者会見するの?」
日産自動車と三菱自動車が共同で緊急会見を開くと聞いて、記者の誰もがそう思ったはずだ。確かに5月11日(水)深夜、「日産自動車が三菱自動車に2000億円を超える規模(その後の発表で2370億円と明示)の出資を行い、事実上、傘下に収める方向で最終的な調整に入った」とNHKが報道し、株式の34%を握る筆頭株主になるというニュースは耳にしていた。
しかし、通常、大手企業の提携にあたっては、事前にリークがあっても、デュー・デリジェンスといって、買収や提携をする前に投資対象となる企業の調査を行う過程があるわけだし、いくら急を要する決断であっても、日産側のみならず、投資を受ける三菱自動車側も役員会を開く必要がある。
あまりにも、素早い記者会見
ところが、あれよあれよという間に、すべてのことが進み、「覚書」の段階とはいえ、当初から予定されていた日産の決算発表をずらして、5月12日(木)午後4時には日産のカルロス・ゴーンCEOと三菱自動車の益子修会長が参加しての共同記者会見を開いたのだ。
三菱自動車の燃費データ不正問題が発覚してからわずか3週間、急転直下の展開となった。結論を急ぐようだが、無事にデュー・デリジェンスが終わって、この覚書が実行されれば、ルノー・日産・三菱自動車の3社連合が誕生する。日産ルノー連合の世界販売台数は2015年に約850万台、三菱自動車は約100万台。合計すると1000万台の大台に限りなく近づく。いわゆる「1000万台クラブ」の仲間入りを果たすことになる。
世界を見回してみても、この規模を誇るのは、世界一を競うトヨタ自動車とフォルクスワーゲン(VW)、さらに70年以上に渡って世界一だったゼネラル・モーターズ(GM)の3社にすぎない。
当然、テレビや新聞メディアの報道は、三菱自動車が起こした不祥事から、1000万台クラブへの入場切符を手に入れた話にすり替わるわけで、不祥事に関する報道がしりすぼみになる可能性は否めない。
それにしても、この提携の真意とは一体何なのか。うがった見方をすれば、三菱自動車が先の見えない不祥事からの抜け道を見つけ、同時に日産も提携によってメリットを見いだせるた”出口”を見つけたようにも思える。
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