中国ではTwitterさえも世論操作のツール ネットから見える反日デモの実態

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この日は柳条湖事件(1931年、満州事変の発端となった事件)が起きた日です。中国にとって「日本に東北三省を取られた日」であり、「国辱記念日」なのです。日本はよりによって「国辱記念日」を1週間後に控えた9月11日に尖閣諸島を国有化したのです。そのため中国では瞬く間に反日デモが発生し、9月18日に向かって勢いが増していったのです。

しかし、暴動にまで発展してしまうと、特に中国の輸出産業が多大な損害を被ってしまいます。実は中国における直接投資額は、直近2年間日本がトップです。リーマンショック後、欧米企業は対中投資から手を引いたため、実質、日本の資本的な影響力や存在感は絶大です。

たとえば、焼き討ちで被害にあった日系自動車メーカーにしても、合弁企業ばかりで、地方政府がステークホルダーとして参与しているケースも多い。また、共産党員の中でも近年ビジネスの成功者が増え、日本とのビジネスで潤っている人も少なくありません。

ウェイボーは世論コントロールツール

要するに、中国のかなり多くの人たちが実は反日デモに困っていて、内心「早く終わってくれないかな」と思っており、政府も「早く取り締まりたい」と思っているのです。そこで、9月18日にウェイボー(微博)を使って「もう反日デモをやめなさい」と国民に伝えました。

ウェイボーとはツイッターの中国版のようなもので、ツイッターと同じように140字以内の文章を書き込めます。ユーザー数はすでに4億アカウントを突破しています。中国の人口14億人のうち、ネット人口は6億人。つまり、ネット人口の3分の2が使っているまさに国民メディアなのです。

そのウェイボーに政府が「もう反日デモをやめなさい」と伝えた日を境にして、「抵制日貨」や「俊逼日本」というつぶやきが減り、「理性愛国」のつぶやきが急激に増えていきました。政府にとってウェイボーは政府の方針やメッセージを国民に伝え、世論をコントロールするためのツールなのです。

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