静かに崩壊…酒飲みの「慢性すい炎」が超怖い 30~50代の男性患者が増加、どうケアする?

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アルコールとすい臓の関係は、完全に解明されているわけではありません。ただ、有力な説として、多量のアルコールを摂取すると、体内で活性酸素が増え、その影響ですい臓内が酸性になり、すい臓が自己消化を起こす、という考えが示されています。アルコールのほかに、脂質の多い料理や暴飲暴食も原因の一つにあがっています。

初期症状としてはみぞおちや背中の痛みがありますが、進行してくるとすい臓の組織が壊れ、逆に痛みを感じにくくなります。ここでくれぐれも「改善された」と勘違いしないでください。下痢、多尿、口の渇きを感じるなどの症状がある場合、すい炎が進行している可能性が高いです。

すい臓は重要な消化器官であると同時に、血糖値を一定に保つためのホルモン・インシュリンを分泌する器官でもあります。ですからすい臓の組織が壊れてしまうと、糖尿病のリスクが高まることにもなります。

お酒に強い人ほど注意が必要

前述の通り、一度慢性すい炎になってしまうと、壊れた細胞は元に戻りにくく、二度と健康な状態に戻らないケースさえあります。発症してからの進行を食い止める努力はもちろん重要ですが、初期症状に「もしや?」と思うものがある方、生活習慣に不安がある方も、今のうちからケアすることをオススメします。

まずはアルコール類。「多量のアルコール」とはよく聞く表現ですが、この「多量」は大体、1日にビールなら中瓶4本以上、日本酒なら4合以上、ワインなら6~7杯以上を指します。お酒に強い方なら毎日これくらい飲む人もいるでしょうし、すでにすい臓が傷ついている可能性もあります。「適量」どころか、いったんは「禁酒」する覚悟が必要かもしれません。

ちなみに、アルコールの「適量」と言われるのは、1日にビール中瓶なら1本、日本酒なら1合、ワインなら1~2杯程度です。

また、霜降り肉、鶏の皮、トロなどの脂質の多い肉・魚、から揚げ、コロッケ、ドーナッツなどの揚げ物系スナック菓子も控えましょう。これらは過剰にすい液の分泌を増やし、すい臓に負担を掛けてしまいます。

喫煙にも注意が必要。タバコに含まれるニコチンは、アルコールと合体すると、慢性すい炎の進行を促してしまいます。

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