眞露、日本足場に販路拡大へ 焼酎イメージを払拭

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眞露焼酎は日本の焼酎市場において、7年連続でシェアナンバーワンだ。自国の酒にプライドを持つ日本で、価格や品質、流通網の壁をすべて超えた。それを成し遂げたのは、同社の楊仁集(ヤンインジブ)社長(55)だ。2007年に日本法人の眞露株式会社の社長に就任した彼は、今年5月から海外事業総括社長を兼任している。日本を超えて、世界を相手に酒類営業を行っている。

眞露=焼酎のイメージが強いが、同社の製品ポートフォリオを変えている。楊社長が赴任する前の06年末まで、同社の甲類焼酎(一般焼酎)の売上高は全売上高の99・7%を占めていた。韓国本社はビールで有名だが、日本では焼酎会社。楊社長の赴任後にビールとマッコリの割合は増え、眞露を総合酒類会社に変えた。現在、同社の売り上げはビール40%、焼酎類35%、マッコリ14・8%だ。

楊社長が酒類製品の多様化を打ち出した当時、日本の社員や韓国本社は反対した。日本のビール市場の規模は大きいが、アサヒやキリン、サントリーなど日本メーカーが市場を掌握。味も優れているが、日本人の国産への愛着も強い。外国ブランドが入る余地はなかった。

市場攻略は難しかったが、だからといって日本の酒類市場の5%にすぎない一般焼酎市場にだけ頼るわけにはいかない。楊社長は自社のビールを販売する会社を探し、「マージンを取らず、ビール1箱当たり1~2ドルで供給する」という破格の提案まで行った。しかし、日本のビール会社は韓国ビールを信じなかった。楊社長は「当時は文字どおり泣きながらビールを勉強し、泣きながら日本の流通網に韓国ビールを入れようとしていた」と振り返る。

マッコリ市場への参入も簡単ではなかった。韓国では大企業によるマッコリ製造は許されず、眞露はマッコリ事業を遠ざけた。ただ楊社長は「タイミングを逃してはダメだ」と、全量を日本に輸出するマッコリ工場を韓国に建設。彼は「誰もやっていないなら可能性はあると考えて、市場参入のタイミングを逃さないようにした」と言う。

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