ファナック変貌、さらば「謎の黄色い王国」 取材拒否、HP削除など昔は閉鎖的だった

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2015年5月、本誌の取材に応じる稲葉新会長(左)と、メモを取る山口新社長(右)

「謎の黄色い王国」のイメージは、過去のものになったのか。

4月27日、工作機械用のNC(数値制御)装置で世界トップシェアのファナックは、稲葉善治社長(67)が代表権のある会長に、山口賢治副社長(47)が社長に就任する人事を発表した。6月下旬の株主総会を経て正式に就任する。

稲葉新会長は新設するCEOを、山口新社長はCOOを兼務する。事業運営を社長に任せつつ、稲葉新会長が引き続き経営全般を指揮するとみられる。翌28日の決算説明会で山口新社長は、「私はまだ若輩者。新会長の下、会社を永続させられるよう注力したい」と謙虚に語っていた。

山口新社長は以前から期待のエースだった

山口新社長は47歳と若いが、ロボット分野に精通し38歳で本社工場長、39歳で専務に就任したエース。現在は製造部門のトップとして工場の合理化などを進めている。

13年ぶりとなる稲葉家以外の社長就任。ファナックの変化を感じる向きも多い。

同社の変貌は稲葉新会長の父で創業者の稲葉清右衛門名誉会長が2013年に第一線を退いた頃から始まった。従来は最低限の情報開示しかせず、取材も拒否。ホームページを閉鎖したこともあった。

だが、2015年以降は定期的に決算説明会を開き、プレス向けの工場ツアーも開催した。2015年3月には株主との対話の窓口となる部署を新設。ここで、社長の名代として機関投資家など大株主との対話を一手に引き受けたのが、山口新社長だった。同社に近い関係者も「以前の閉鎖的な印象と異なり、いい雰囲気の会社になっている」と明かす。

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