「変な名前」でヒットを連発するネーミング術 「インドの青鬼」「水曜日のネコ」が、ビール?
「しっくりくるネーミング」は罠だった
「実を言うと『よなよなエール』って、当初『エールナンバーワン』といった名前も有力候補に挙げられていたんです。当時社長だった星野(星野リゾート代表)らが“エールビールのナンバーワンブランドにしたい”といった思いを込めたんですが、今思えばイマイチしっくりきませんよね」(ヤッホーブルーイング・井手直行社長)
ビールの名として、いかにも「ありそう」だ。だからこそ、インパクトがない。そんな中、星野氏は夜を徹して再考し、朝方にピンとくるフレーズを思いついた。
「よなよな(=毎晩毎晩)、日本になかったエールビールを飲んでもらえる文化を根付かせたい――」
だから『よなよなエール』。このあとすぐ「理屈にも合っている」と考えた。日本語を使うことで“メイドインジャパンのビール”というこだわりが表現できる。また「よな・よな」と、同じフレーズを2回繰り返すと、ユーザーの記憶にも残りやすい。
井手氏はこう振り返る。
「しかし、奇異な印象の名前ではありました。製品が発売された1997年当時、まだビール市場には大手メーカーさんのビールしかなかったんです。今となれば『エールナンバーワン』より『よなよなエール』のほうが魅力的なネーミングだと感じるのですが……」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら