民進・山尾政調会長「安倍首相カッコ悪すぎ」 本格的な議論を避け、逃げてばかり

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有馬:確かに安倍政権のバラマキは露骨な面がありますね。それでも前回の失敗が尾を引いているのか、「民進党を応援しよう」という声をあまり聞きません。何か民進党が自民党よりも優れている、という糸口のようなものがあるのでしょうか。

山尾:2つあります。ひとつは民進党の人的な財産です。民主党は2009年に一回与党になりましたが、いろいろな人が入ってきた結果、統率を欠き最後は「党批判をして自分が生き残ろうとする」ような発言が後を絶ちませんでした。しかし、今なお共に闘っている同期や先輩議員には、信頼し尊敬できる若手・中堅の論客が大勢います。ここに維新の党が合流して、若手の比率は一段と高まっています。

2つ目は「対案をこれでもか、これでもか」と言っていける力です。これが必要です。たとえば安全保障の問題について、違憲部分を廃案にすることは大事ですが、領域警備法や周辺事態法、PKOなどを改正することによって、限られた財源や人的資源を最大限使い、国際的プレゼンスを高めながらリスクに対処することは可能です。憲法の許す範囲内で変化する国際環境に対応し、やるべき改正はやり、法案も提出して議論する準備は整っています。

「近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」というキャッチフレーズだってあって、これを地元で言うと「なんだ、民進党、対案あるじゃん」と言っていただけます。

経済政策についても同様です。社会保障の安定性を確保しないと財布のひもは絶対に緩みません。さきほど一人ひとりのハードルを取り除くという話をしましたが、年金の不安解消や働けなくなるかも、といった皆さん一人ひとりの不安を解消する手立てを講じていきます。また、人口減少の中でも経済の質を担保して、一人ひとりが生き生きと社会に貢献するような社会をつくる。こうした地道な解決策の集合が新しい状況を作り出し、数字として見た時にも、立派な経済政策になっていければいい。こうした発想は、無理やり「量の発展」を追い求める安倍政権とはまったく違うし、自民党と同じ土俵で戦う必要はまったくありません。

今までの反省や総括はもちろん必要ですが、それはこれからの自分たちの行動に落とし込んでいきます。もっと自信を持って訴えかけて行きます。3月27日の結党で、「ギアチェンジしたんだ」と考えたい。

自民党の憲法改正草案は憲法を知らない人が書いた

有馬:それでは憲法について。私は憲法とは「この部分をこういじればいい」というのではなく、全体としての整合性も見なければならないと思っていますが、法律の専門家である山尾さんから見て、自民党の憲法改正草案はどう見えていますか。

山尾:自民党の憲法改正草案は「憲法を知らない人」にしか書けないもの
で、公党が提示するレベルに達していないと思います。私たちは憲法については「未来志向の憲法を国民とともに構想する」としていますが、自民党とは考え方がまったく違います。現行の憲法を真剣に学べば極めて含蓄が深いものだとわかりますが、私たちは戦後71年、日本国民が大切に育ててきた過程をとても大切にして、ここから国民とどうしようかと一緒に考えましょうというスタンスです。

憲法が普通の法律と違うのは、政治とか国家が作るものではないということです。自民党は「米国製だから変えなければならない」「変えるとしたらどこが変えられるか」という思考になっていますが、民進党は「変える必要はあるのか?」「その声は国民から出ているのか?」だとしたら、どういう方法でやるのがいいのか、あくまで国民の側に立ったあるべき思考過程をたどっていこうというものです。

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