民進・山尾政調会長「安倍首相カッコ悪すぎ」 本格的な議論を避け、逃げてばかり

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山尾:もうひとつは「共生イレブン」(11の重要政策)でうたっているのですが、漠然と「一億総活躍社会」と言うのではなく、一人ひとりが活躍する社会を実現するために、それぞれにとってのハードルを具体的に取り除いていこうという考え方です。

たとえば「おカネがないから大学に行けない」「保育園に子供を預けられないから仕事を辞めざるをえない」「無職になったら、そのあと仕事に就けない」といったハードルを一つひとつ取り除く。それが豊かな社会、共に生きる社会になるということです。

「何が自分にとっての幸せか」――。私は一人ひとり違うと思います。自民党の、男性中心の政治家の発想では「国民の活躍=GDP600兆円」という量を追い求める、旧来型の図式しか描けません。そうではなくて、これからの日本は質で経済成長する必要があります。「みんな違うけれど、共に手を取り、助け合っていく社会」へ。女性の政治家が増えて、政治が変わるとすれば、こういう部分が積極的に変わっていくのだと思います。

有馬:安倍首相は女性の大臣を増やしたりして国民の支持を得ながら、結局は「憲法改正」や、自分のやりたい方向に政治を持っていくなど、手腕が巧みです。一方、民進党としては、旧民主党時代も含め約3年4カ月野党が続いているわけですが、「ここを見てくれ」という部分はあるのでしょうか。

山尾:さきほどの3つの理念のうち、3つ目の「未来への責任」のところを見ていただきたいと思います。安倍政権は「財源がない」と言いながら、選挙が近づくと「お年寄りに年金給付3900億円」を決めました。今度は「若者に商品券」を配るのですか? 選挙になると「湧き出す財布」を持っているようですね。

若者にもお年寄りにも「同じ言葉」で

有馬 晴海(ありま はるみ)/政治評論家。1958年、長崎県佐世保市生まれ。立教大学経済学部卒。リクルート社勤務などを経て、国会議員秘書となる。1996年より評論家として独立、政界に豊富な人脈を持ち、長年にわたる永田町取材の経験に基づく、優れた分析力と歯切れのよさには定評。政策立案能力のある国会議員と意見交換しながら政治問題に取り組む一方、政治の勉強会「隗始(かいし)塾」を主宰、国民にわかりやすい政治を実践(撮影:吉野純治)

しかし、国民の皆さんは賢いのです。「ワンショット」(1回限り)で渡されても、それが国の持続的な成長に役立たないことに気づき始めています。民進党は、「限られた財源は、子どもと若者に優先的に順位を振り向けさせてくれ」と。今は平均余命が長くなり「先輩世代」も長生きする時代。

先輩世代のこれからの老後が苦しくなるのか、今の豊かさを維持できるのかは、ワンショットでおカネを配ることではなく、いかに子供や若者を優先できるかにかかっています。

私が気を付けていることは、若者にもお年寄りにも同じ言葉で語りかけたいということです。今までもやってきましたし、これからもやっていきます。この国は子供に冷たい。子供を大切にしない国に未来がないのは、みんなわかっている。でも、選挙になると「お年寄りの票が逃げる」と言って政治家は大事なことを言いません。しかし、私はそれは違うと思う。日本の有権者はそんなに愚かではありません。政治家の「腹が決まっていない」だけです。

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