熊本地震「LINE通話を10分無料」は大問題だ 悪意がないにしても、ひどすぎる

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電話回線への負荷がかからないよう大規模災害時に開設されるのが、NTTコミュニケーションズが提供する災害用伝言ダイヤルだ。利用者は「171」へダイヤルするだけで、安否連絡を取りたい相手に伝言を残したり、相手の伝言を聞くことができる。

171の伝言サービスは、利用者の電話番号と紐付けられているため、安否を気遣う親戚や知人は、相手の携帯電話番号を入れるだけで伝言の有無と内容の確認を行える。このサービスは、震度6以上の地震が発生した場合、自動的にその地域でシステムが起動するよう設計されている。音声中心の端末を使っているならば、まずは171に連絡することが、安否連絡の最優先プロセスだ。

スマホであればweb171が便利

次にスマホでウェブサービスが比較的自由に扱える方であれば、web171が便利だ。音声の171と同様、利用者の電話番号で文字による安否確認メッセージを登録、参照できる。また、気になる相手の電話番号を登録しておけば、メールや伝言の通知を受けることもできる(NTTドコモKDDIソフトバンク)。

こうしたサービスは、過去の自然災害事例から生まれてきたものだ。固定電話回線、携帯電話回線に限らず、輻輳による通信網の混乱は過去に何度も起きてきたことで、その反省から生まれてきたものだ。

171、web171とも是非とも知っておいて欲しいが、より手軽な通信手段もある。たとえばフェイスブック、グーグル、ヤフーなどは、東日本大震災をきっかけにさまざまな災害時連絡の機能、サービスを開発した。ウェブはテキストデータによるやりとりが中心となるため、音声サービスのような輻輳問題に直面しにくい。また掲示板やSNSは、時間が経っても文字として残る上、パッと見て内容を把握しやすい。これは音声メッセージと大きく異なる点だ。

災害時にもっとも重要な通信とは、災害対応に関連した連絡だ。安否確認を軽視するわけではないが、即時性という面では、必ずしも最優先とは言えない。

もちろん、LINEは悪意をもってLINE Outの無料化をアナウンスしたわけではないだろう。しかし、だからこそ今回の一連の出来事と、それに対するさまざまな意見を吟味し、自分たちのサービス運営に活かしてほしいものだ。携帯電話事業者の枠組みを超えて音声、チャットサービスを提供している公共性の高い企業、サービスとして、今回の事例を自分たちの成長に活かして欲しいものだ。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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