原油相場回復なら米国株に下落リスクあり 産油国会合の減産合意次第で景色は変わる

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イランは減産をしないとの姿勢を明確にしているが、17日の産油国会合では増産抑制に関する合意がなされると目されている(写真:ロイター/アフロ)

13日の日本株は急伸した。円高がやや一服したことや、海外市場で株価が堅調に推移したことなどが背景にある。米国株の上昇も顕著だが、その理由として原油相場の上昇が挙げられている。市場では、依然として「原油高=株高」のロジックで語られているようだが、いずれにしても、現在の原油高が株式市場に好影響を与えていることだけは確かである。この点から、今後の原油相場の動向にはこれまで以上に注目が集まるだろう。

原油相場回復には需給バランスの改善が不可欠

これまで原油相場が軟調に推移してきた理由として、産油国が減産しないことや米国でのシェールオイル増産による供給過多が挙げられている。世界の石油需要は順調に拡大しているものの、そのペースを上回るスピードで生産・供給量が拡大していることが、需給緩和につながり、原油相場を押し下げてきた。この需給バランスの改善には、少なくとも産油量を抑制する必要がある。

この点からも、17日にカタールのドーハで開催されるOPEC加盟・非加盟国による、増産抑制に関する会合はきわめて重要なポイントとなる。今回は、2月に主要産油4カ国(サウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラ)が合意した内容について、ほかの産油国も巻き込み、産油量を抑制することで需給バランスの改善を図ろうというものである。

世界の石油需要は年率で日量120万バレル程度増加する。産油量が増加しなければ、現時点で日量220万バレル程度、供給過剰になっていると言われる世界の石油需給は、少なくとも来年後半にはバランスすることになるだろう。世界の石油消費量は着実に拡大しており、産油量を抑制するだけで需給バランスは本来改善するはずである。

そのためには、産油国が産油政策について一致しているとの姿勢を打ち出すことが肝要である。主要産油国が一同に会する今回の会合で、何も合意されないということはないだろう。原油価格の低迷で苦しいのは、どの産油国も同じである。したがって、少なくとも、増産抑制に関する何かしらの合意がなされたとのメッセージが出るはずである。

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