縮小する被災者への支援策(後編)--医療機関受診抑制や介護サービス利用の手控えも

縮小する被災者への支援策(後編)--医療機関受診抑制や介護サービス利用の手控えも

東日本大震災発生から1年6カ月が過ぎた現在も、仮設住宅や借り上げアパートなどで避難生活を強いられている被災者は33万人にのぼっている。今なお生活再建の道筋を描けず、仕事に就けないまま、生活苦に喘いでいる人も少なくない。

そうした中、医療や介護保険料の減免措置が9月末で打ち切りとなるケースが相次ぐ。岩手、宮城、福島の3県では、津波や地震で住宅が全半壊した住民の多くが保険料の減免対象から外れることになり、10月からは震災前のルールに則った保険料納付を余儀なくされる。その数は国民健康保険(国保)で約14万世帯、後期高齢者医療で約11万人、介護保険では17万人程度にのぼるとみられる(→詳細はこちら)。

医療費の一部負担金や介護サービスの利用料については、岩手県と宮城県の全市町村が全額免除を2013年3月末まで続ける一方で、福島県内では福島市やいわき市、郡山市など26市町村が9月末で免除措置を打ち切る。

国保では保険料の滞納が続いた場合、医療機関の窓口でいったん医療費の全額(10割)を支払わなければならないことから、必要な医療が受けられなくなる事態も危惧される。一部負担金免除打ち切りも、避難生活で家計が火の車の住民にとっては大きな問題だ。

そうした懸念から、岩手、宮城、福島の3県は、8月10日付けで国保、後期高齢者医療、介護保険に関する保険料減免と一部負担金(利用者負担金)免除のための財政措置継続を厚生労働省の担当局長宛てに求めた。青森、岩手、宮城、福島各県の後期高齢者医療広域連合は8月2日付けで厚労相宛に、同様の趣旨の要望書を提出している。しかし、厚労省は阪神大震災と比べてすでに免除期間が長くなっていることなどを理由に、10月以降の支援措置を縮小する方針を変えていない。

医療や介護の負担増は被災者の暮らしにどのような影響をもたらすのだろうか。

岩手県保険医協会が被災住民を対象に5~6月に実施したアンケート調査によれば、回答者の約25%が一部負担金の免除終了後は「通院できない」「回数を減らす」と回答している。また、宮城県保険医協会による患者アンケート(5~6月)によれば、震災発生を機に免除措置が実施される以前に約3割の人が治療をせずに我慢していたと回答。宮城協会の北村龍男理事長(北村神経内科クリニック院長)は「県内の被災の深刻さや復旧の遅れからみて、一部負担金免除を打ち切っていい状況にはない」と指摘する。

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