カジノ会社幹部「お台場は今も有力候補地だ」 大手サンズは、日本進出をあきらめてはいない

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――活動の手応えはどうか。

政府は、IRがどのようなもので、どういったことができるかということを、細かくデューデリジェンスしている段階だと思う。我々のビジネスモデルの特徴である、MICE〔企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字〕にフォーカスしたIRが、日本の市場にどういった貢献ができるのかを、例えば税収や、観光、海外からの投資の可能性といった観点から情報提供し、サポートしている。

マリーナベイ・サンズ社長兼CEOのジョージ・タナシェヴィッチ氏(撮影:田所千代美)

政府には、日本の経済や雇用の状況に与える影響についてはかなりポジティブに受け止めていただいていると思うし、リスクについてもきちんと管理をしていけるということをご理解いただいている。

――日本の文化に、カジノは馴染むものなのか。

日本には既にパチンコをはじめとして、競馬、競輪、宝くじなど様々なものがあるので、文化的に受け入れられることについては、全く心配していない。

日本の皆さんに理解していただきたいのは、IRと言っても、カジノの部分は本当に小さなスペースでしかないということ。そのカジノも、国際的にも洗練されたオペレーターが、厳しい規制のもとで運営していく。

競争はせず、パイを大きくすることを考える

――IRと言っても様々な形があるが、日本で展開する場合はどういった特徴が出てくると考えられるか。

我々が世界各国で展開するIRのコアの要素は、どこの都市で作るにしても入ってくるだろう。ただ、それを具体的にどうプログラミングするのか、あるいはどのような規模感にするのかは、市場によって変わってくる。そういった意味では、IRの設計に、方程式のようなものが杓子定規に存在するわけではない。我々が新しい市場に入っていく時にまず最初にするのは、その市場にすでにあるものとないものが何かを見極めること。我々が入っていくことで、補完してより強くできることをカスタマイズした形で設計していく。

例えば、東京ビッグサイトともミーティングを重ねていて、どういったことができるか話をしているが、我々が東京に来ることを歓迎していただいている。彼らのビジネスと我々が展開するMICEにフォーカスしたIRは補完関係にあるし、より大きなものにしていくことができるだろう。既にあるものと競争していくことはしない。1つのパイを争うというよりかは、どうやったらパイ自体を大きくできるのかを考える。

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