鴻海会長「今回は買収案件ではなく投資案件」 シャープ買収を正式調印
[堺市 2日 ロイター] - 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業<2317.TW>の郭台銘(テリー・ゴウ)会長とシャープ<6753.T>の高橋興三社長は2日、大阪・堺市で会見、鴻海によるシャープ買収に調印したと発表した。
郭会長はシャープ再建のカギになるディスプレー事業について「OLED(有機EL)より(シャープの独自技術である)IGZOの方がコスト的に優れている」と指摘。また、「シャープ社員はできるだけ全員残ってもらう」とし、大規模な人員整理の考えは否定した。
同会長はシャープの強みについて、イノベーションを推進してきた実績がある点を評価。買収によって「今後100年繁栄生存できる旅路をともに踏み出したい」と述べるとともに、「弊社としてはシャープという会社が製品を開発し国際的な操業ができるようにサポートをしていきたい」と語った。
シャープは今後の再建策の柱として、鴻海から得た資金で、スマートフォン(スマホ)向け次世代パネルである有機ELの量産化に2000億円を投資する計画。だが、この市場は韓国勢の牙城で、後発組の同社が切り崩すのは容易ではない。
郭会長は競争上、有機ELに参入するものの、シャープ独自のデバイス技術であるIGZO技術を引き続き強化する意向を強調。「(IGZOは)小型化が可能で、たくさんの技術がある。将来的にはIGZOが60%、フレキシブルも含めたOLEDが40%で、OLEDの方が使える数が少ないのではないか」との見方を示した上で「私がエンジニアであれば、コストを削減できるIGZOを推したい」と述べた。
鴻海はシャープ株式の66%を取得、シャープの経営権を確保するが、郭会長は「今回は買収案件ではなく、投資案件だ。両社は引き続き独立したグループとして存続する」と語り、シャープに一定の配慮を示した。
2016年3月期に1600億円の営業損失を計上するシャープの収益回復策については、「心の中で計画を立てている」と述べるにとどめ、具体的なスケジュールへの言及を避けた。
郭会長はシャープの現状について「製品ラインが多すぎて、その(製品)間の統合が必ずしもうまくいっていない。複数あるチームを一緒に管理していく役職が必要だ」と組織改革の可能性に言及する一方で、「従業員にはなるべく全員残ってもらえるようにしていきたい」と雇用に配慮する考えを示した。
(志田義寧 編集:北松克朗)
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