シャープと破談のJDI、工場集約で生き残りへ 有機ELとスマホ以外の分野へ、投資を急ぐ
競合するシャープとの統合話が立ち消えになり、単独での生き残りを余儀なくされたジャパンディスプレイ(JDI)。シャープが台湾EMS(電子機器受託製造)大手、鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下で巻き返しを図るとみられる中、先手を打った。
JDIは、国内の中小型液晶パネル生産ラインの一部廃止、中国の工場再編、早期退職の募集に乗り出す。これによって、2016年3月期に約140億円の特別損失を計上する一方、今後は年170億円程度の固定費削減効果(17年3月期は80億円)を見込む。発表のあった3月16日、JDI株は前日比2.5%高の241円の値をつけ、株式市場は好感した。
有機ELの量産化が課題
廃止が明かされた製造ラインは、千葉県茂原工場の第4・5世代ラインと、愛知県東浦工場の第3・5世代ラインのそれぞれ1ラインだ。
一般的に液晶パネルは、数字の大きい世代の製造ラインほどガラス基板が大きく、一枚のガラスから製造できるパネル数も増えるために、製造効率がよい。
対象となる2ラインはJDIが保有する中では小さく、製造効率も悪いため、他工場のラインに集約し、収益改善に取り組む。特に東浦の対象ラインは、第4四半期(16年1~3月期)に入って生産数量が落ち込んでいる影響もあり、稼働率はそうとう低くなっているとみられる。
同時に発表した早期退職の募集は45歳以上が対象となり、規模は発表されていないものの、「全社で400人くらいを見込む。廃止ラインの人員の早期退職はその半分くらい」(JDI)という。工場のある自治体への影響も大きい。「発表翌日に茂原工場の担当者が説明に来た。JDIの決定に従うしかないが、工場人員が他工場に配置転換となれば、市としては痛手」(茂原市商工観光課)と人口減を懸念する声が多い。
JDIがいま構造改革に取り組む背景には、有機ELの量産化と売り先の多様化という、二つの課題を抱えていることがある。
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