新入社員は絶対に保険に入ってはいけない! 保険販売員の勧誘は、丁寧に断ろう

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具体的には、住居費、自動車経費、通信費、生命保険のような支出額の大きい項目を見直すことです。ライフスタイルによる各人の事情もあるでしょうが、どの項目も決して聖域と考えないことです。見直すことで万円単位の節約が可能です。特に生命保険については、もし加入していたら、迷うことなく見直すことを考えましょう。そこで浮いたお金を自分への投資に回しましょう。

信頼できる人とのつながりが最大のリスク対策

さて、保険は不幸な事態が起こったときに、その損失を「金銭的」に保障するものです。いざというとき大いに助かりますが、あくまで「お金で補う」方法に過ぎず、決してそれ以上のものではありません。当たり前のように思われるでしょうが、この保険の限界性を知ることは、保険の本質を理解し、あなたの人生の真の安心・安全を考えるうえでとても重要なポイントです。

働けなくなった時、就業不能保険に入っていれば、保険金が支払われます。しかし、困り果てたあなたの相談に乗り、再就職を親身になって世話してくれるのは保険会社ではありません。親しい人を失ったとき、打ちひしがれるあなたを慰め、その喪失感を癒したりはしてくれません。

本当に困難な状況に陥ったときこそ、信頼し合える人との繋がりが必要になります。これは、家族、親族、学生時代の友人にとどまりません。今後あなたが仕事を通して知り合う多くの人たちと、互いに信頼し合える関係をひとつずつ築き上げていくことが、社会人になるということです。これこそが新社会人のあなたにとって、保険に代わる最大のリスク対策なのです。

社会に出たばかりのあなたには、すぐに保険の勧誘があると思います。しかし、勧められるまま安易に保険に入らないようにしましょう。まずは「大きな節約」を心掛け、自分という人的資本への投資を忘れず、仕事を通して信頼し合える人的関係を築き上げていかねばなりません。こうした努力が、新社会人の取るべき基本的リスク対応策なのです。

昨年4月からスタートしました当連載は今回で終了します。ご愛読いただいた読者の皆様、1年間、どうもありがとうございました。
 

橋爪 健人 保険を知り尽くした男

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はしづめたけと / Taketo Hashizume

1974年東北大学卒、1984年米国デューク大学修士。日本生命保険に入社後、ホールセール企画部門、米国留学、法人営業部門を経て米国日本生命副社長。帰国後、損保会社出向、ジャパン・アフィニティ(保険ブローカー会社)代表取締役を経て2004年独立。企業向け保険ビジネスのコンサルタントとして活動。著書に『日本人が保険で大損する仕組み』(日本経済新聞出版社)

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