iPhone新製品「3月発表」に込められた"狙い" アップル「再拡大」のカギ握る3つのテコ入れ

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またApple Insiderによると、RBC Capital Marketsのアナリスト、Amit Daryanani氏は、4.7インチ、5.5インチの大型化されたiPhoneは、インストールベースで40%しかないと指摘する。前述の4インチを好むユーザーと、よりコストが安いiPhoneを求める人々によって、60%が構成されている。

4インチのiPhoneを使っている限りは、より高性能なカメラや、高速に動作するプロセッサ、Apple Payといった、「最新のiPhoneの機能」にはアクセスできないのが現状。そこでアップルは最新の技術を導入した「高性能な4インチサイズのiPhone」を登場させることで、取りこぼしていたニーズに応えようとしているのだ。

前述のDaryanani氏によると、新しい4インチのiPhoneによって、年間1000万台から1500万台が、新たに積み増されると試算している。これは確実にアップルのiPhone販売台数の成長に貢献するだろう。

季節変動を埋める可能性

2つめのテコ入れが「激しすぎる季節変動を緩やかにする」というものだ。

アップルの四半期ごとの決算をみると、あらゆる製品カテゴリで、10-12月期に当たる第1四半期決算に最も多くの売り上げと利益が計上されてきた。感謝祭からクリスマスにかけてのホリデーシーズンが含まれ、消費者の購買が活発になる点、そして、例年9月末に発売される新型iPhoneの需要が、こうした数字を作ってきた。

アップルはこれまでも、3月(iPad等発表)、6月(世界開発者会議での製品発表)、9月(iPhone新製品の発表)というタイミングで、メディア向けの発表イベントを開催しており、Macやソフトウェアは随時新製品へのアップデートが行われてきた。

しかしiPhoneの販売が主力となっているアップルは、9月の発表とこれに続く第1四半期に需要が集中してしまうことで、iPhoneの生産体制を整えていく上でもリスクが大きくなっているのではないだろうか。

小型ながら、3月にもiPhoneの発売を計画することは、こうした「9月集中」の体制を変化させることにつながるのではないか、と考えられる。

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