まだまだいける?! コンビニ飽和時代の出店戦略、量より質で強みを発揮

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 しかし結果は逆で、売り上げは減る一方。その後の調査で、離れた客の多くが商圏内の住民であることが判明する。道路の拡張に伴い周辺に商業施設が増え、クルマを利用する機会が増えたことで、駐車場のない同店の利用が減ったのだった。

そこで、すぐ近くの土地を買い取り店舗を移転。10台分の駐車場を持つ新店をオープンすると、1日の売り上げは2・5倍に拡大した。置き換えでは、こうした駐車場が関係する事例が比較的多いという。

ケース2も郊外の例。A市の国道沿いで営業するファミリーマート。国道の交通量に大きな変化はなく売り上げも順調だったが、あるとき、国道を迂回するバイパスの交通量が増え出した。バイパスがその先のB市まで延伸されたことがその理由だ。

そこで、国道とバイパスの分岐点に店舗を移転。両道路から入れる駐車場を整え、休憩用のイートインコーナーも設けると、売り上げは2倍近くに拡大した。

店舗数の増加によって新規出店の余地は減る一方だが、商圏内をあらためて精査することで見える“出店余地”はまだまだ存在するようだ。

出店余地の問題と同様、オーナーのなり手を確保することも厳しくなってきた。景気悪化で足元は募集をかけやすい状況になってきたというが、景気が回復すればまた減る可能性はある。各社とも、年齢制限の緩和やチャージの引き下げなど、あの手この手でオーナー不足に手を打っている。

ファミリーマートは、一人のオーナーに複数店を経営してもらうことに力を入れている。2店目以降を経営するオーナーには販売奨励金を支給するなど、03年から契約制度の整備を続けてきた。今では全店の約4割が複数店経営を行うオーナーの店だという。

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