週刊文春「元少年A」直撃記事が投じたもの

少年法が元少年を永遠に守るわけではない

昨年6月に出版された『絶歌』は約25万部売れた。著者である元少年A氏は"ベストセラー作家"という社会的立場にもある(写真:読売新聞/アフロ)

「週刊文春(以下、文春)」2月25日号は、1997年に発生した神戸連続児童殺傷事件の加害者である「元少年A」氏に直撃取材した内容を、写真つきで報じた。

「元少年A」氏は、昨年6月に、事件を起こした経緯やその後の人生をつづった手記、『絶歌』(太田出版)を出版。これと合わせて、自身の公式ホームページ を開設した上、有料のメールマガジンを作ってビジネスを展開し始めたことには、大きな批判が巻き起こった(その後メルマガは削除されている)。今回の文春記事は、こうした問題に正面から切り込んだものと言える。

「元少年A」氏は33歳、すでに少年ではない

文春は記事の中で、「『元少年A』は、なぜ『絶歌』を書いたのか。彼は果たして更正したといえるのか。私たちの社会は、どのように彼を受け入れていけばよいのか――」と問いかけ、「突きつけられた重い問いに答えを出すには、いま一度、少年Aとは何者なのかに迫らねばならない」と問題提起をしている。重大犯罪を行った少年が成人になってから、事件や自分自身について積極的な情報発信を展開するという、異例の事態を受けてのことだろう。

少年が罪を犯したとしても、成人と異なり、匿名で報道されることはよく知られている。「推知報道の禁止」を定める少年法61条があるためだ。推知報道といえるためには、元少年A氏と面識のない不特定多数の一般人が「この人が元少年Aだ」と分かる必要がある。例えば、元少年A氏の実名と少年期の顔写真を掲載した2015年9月の「週刊ポスト」の記事は推知報道にあたるが、今回の記事はそうとはいえないだろう。なぜなら、「元少年A」氏とされる人物の服装や輪郭などは分かるが、顔には黒の目線が入っており、実名も明らかにされていないからだ。文春側も、この点には慎重に配慮していたことが窺える。

しかし、憲法問題に詳しく、法教育活動にも携わる伊藤建(たける)弁護士は、「現在の元少年A氏について実名報道をすることは、少年法には違反しない」と指摘する。どういうことなのだろうか。

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