「テーマ特化型」シェアハウスが増えるワケ 高収入者の入居も増加

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住人が家にいる祝日やホームパーティーのときなどには、料理のコツを教えたり、恋愛の悩み相談に乗ったりする純子おばあちゃんの存在そのものが、物件の魅力を支えている。

疲れたらフィットネス

(撮影/写真部・加藤夏子)

東京・大森の高級住宅街に3年前、新築されたシェアハウス「凛omоri」のセールスポイントは、地下にある明るく広々とした全面鏡張りのフィットネススタジオだ。

ヨガマットやバランスボールなども備え付けで、DVDプレーヤーにモニター、腹筋を鍛えられるマシンもそろっており、至れり尽くせり。健康や美容に敏感な22~42歳までの男女21人が暮らす。家賃は6万3千~8万6千円。

プロの漫画家で『リヒト 光の癒術師(ハイレン)』の作品がある明(みん)さんは、部屋にこもっての制作作業に疲れたら、24時間使えるスタジオに行き、ヨガで発散するのが楽しみのひとつだ。「違う世代、職業、価値観の男女が集うシェアハウスはネタの宝庫。“その発想はなかった”という角度からの意見を聞けるのも貴重」と話す。

住人は献立当番や会計係などを交代でこなす(撮影/写真部・加藤夏子)

姉妹で向かいの部屋に暮らすまみさん(29)、ななさん(27)は、住人5人でダイエット部を結成。朝6時半に起きて筋トレをし、その後1時間のランニングを継続している。

「ひとりでは続けられないことも、仲間がいるから励まし合える。元々運動をしなかった人も健康に意識が向くようになったり、住人とのコミュニケーションで生活を変えるきっかけが生まれたりすることもあります」(まみさん)

この物件を管理するシェアカンパニー(東京都新宿区)の社員で、自らも住んでいる中島明日香さんは「スタジオのように、一人暮らしでは到底手が届かないリッチな設備が使い放題なのはもちろん、新しい友達や男女の出会いを期待して入居する方もいらっしゃいます。この物件でも、カップルが誕生しました」と打ち明ける。

以前の住人の中には、クラシックバレエにハマってこの物件に入居し、次にバイオリン演奏に興味が移ると、音楽スタジオ付きのシェアハウスに移住した強者もいたそう。そんな夢のような住み替えが簡単に実現できるほど、単身者のニーズをかなえてくれる特化型シェアハウスがいま、花盛りだ。

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